【付録E】動物の五感に配慮した環境管理(1)

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)の内容についてざっと見てきました。実は「ガイドライン」には付録があり、その内容も極力紹介してきましたが、泣く泣く割愛したものもあります。それをいくつか紹介したいと思います。まず最初は、アニマルシェルターの環境について、動物の五感の特徴に配慮した管理についてまとめている「付録E」です。

 

Appendix E: Environmental Management Considering an Animal’s Five Senses

付録E:動物の五感に配慮した環境管理

 

Hearing(聴覚)

<特徴>

・Keen sense of hearing: highly sensitive to sounds

鋭い聴覚:音に非常に敏感

・Loud and novel noises including the sounds of other animals, such as barking, increase stress and fear

他の動物の鳴き声など、大きな音や斬新な音は、ストレスや恐怖心を高める

<管理>

・Minimize loud and sudden noises, including barking

吠え声など、大きな音や突然の音を最小限に抑える

・Separate cats from dogs

猫と犬を分ける

・Separate stressed animals from loud animals

ストレスを感じている動物を騒がしい動物から分離する

・Use white noise to muffle disturbing noises

ホワイトノイズを使用して、邪魔な雑音を消す

 

【のらぬこの解説】

総じて動物は聴覚が発達しているため、騒音の管理は重要です。ここで紹介されている内容の多くは、本文でも触れられています。ちなみに「ホワイトノイズ」とは、正規乱数を用いて生成された「シャー」というノイズです。可聴域のすべての周波数が均等に含まれているため、騒音の上書きに適しています。

 

※Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022