ASVガイドラインの「本当の」読み方

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)の内容について、推奨事項や禁止事項を中心に紹介してきました。この中にはやや厳しめの規定も含まれていますが、動物の福祉を担保するために必要な最低基準が示されています。

 

マニュアルは各シェルターが作成する

しかし気を付けなければならないのは、この「ガイドライン」はそのまま「アニマルシェルターにおける動物の飼養管理マニュアル」として用いられることを想定していないということです。実際に「ガイドライン」にもこう書かれています。

 

Although many practice recommendations and examples are included, these Guidelines are not a detailed manual for shelter operations. As with the previous document, the aim is to provide guiding standards of care to meet animals’ needs, while allowing shelters to determine exactly how those standards are met in their own operating protocols, based on their mission or mandate, resources, challenges, and community needs.

多くの実践勧告や事例が含まれているが、このガイドラインはシェルター運営のための詳細なマニュアルではない。旧ガイドラインと同様、目的は動物のニーズを満たすためのケアの指針となる基準を提供することであり、一方でシェルターが、その使命や任務、資源、課題、および地域のニーズに基づいて、独自の運営手順でそれらの基準を満たす方法を正確に決定できるようにすることである。(p1)

 

当然ですが、アニマルシェルターはそれぞれ独自の方針で運営されています。例えば公営か私営かによっても異なります。また施設規模や職員数もシェルターによって異なりますし、地域社会とのつながりもまちまちです。こういった多様なシェルターのすべてに対応できる、一律のマニュアルを提示することは不可能です。あくまでもマニュアルは各シェルターで作成しなければなりません。マニュアルを作成する際の指針を示したものが「ガイドライン」というわけです。

 

「ガイドライン」の目的

そしてもうひとつ注意すべき点は、「ガイドライン」の目的が「動物のケアの指針となる基準の提供」と「各シェルターが運営手順を策定する際の技術的助言」と明記されている点です。そもそも「ガイドライン」はアニマルシェルター等、コンパニオンアニマルを群管理する施設向けの技術的助言として書かれていると考えられるので少しおかしい気がしますが、そこにシェルターに対する「ガイドライン」の考え方が示されているように私には見えるのです。そこについて少し掘り下げていきたいと思います。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022