ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)には、foster care(預かりボランティアによるケア)についての記述が随所にみられます。
日本もそうですが、米国の動物保護団体にはシェルターを持つ団体と、持たない団体があります。シェルターを持たない動物保護団体は“foster-based organization”や“rescue group”と呼ばれ、預かりボランティアのネットワークで運用されています。一方、シェルターを有する動物保護団体であっても、極力シェルターに動物を入れない方がよいとの考え方から、預かりボランティアと契約しそこに動物を託すという事業を実施しているところもあります。どちらにしても、ほとんどの場合預かりボランティアは特定の団体やシェルターの管理下にあります。
もちろん米国においても、何者の管理も受けない純粋な個人ボランティアも存在します。しかしそういうボランティアがアニマルホーダー化し、「多頭飼育崩壊」に至るケースもあり問題となっています。そのため州にもよりますが、預かりボランティアがいわゆる動物取扱業の一形態として法的に規制されていたりもします。つまり米国における「預かりボランティア」の地位は、われわれの想像よりも確立されているといえるのです。
預かりボランティアの管理
ボランティアに預けた動物であっても、その管理は保護団体が責任を負わなければなりません。それはシェルターを持つ団体でも、そうでない団体でも同じです。もちろんボランティアへの丸投げは許されません。「動物の福祉の促進」と「LOS(滞在期間)の短縮」が担保されるよう、適切なサポートが必要です。「ガイドライン」にはこう記述されています。
Foster programs must have sufficient personnel to provide support to caregivers and animals. Foster support includes tasks such as maintaining a foster caregiver database, communicating with foster caregivers, scheduling appointments, and facilitating outcomes. Medical, surgical, and behavioral services for foster animals must be provided in a manner that promotes animal welfare and minimizes LOS.
預かりボランティア事業には、ボランティアや動物にサポートを提供するための十分な職員を有していなければならない。ボランティアの支援には、ボランティアのデータベースの維持、ボランティアとの連絡、予約の調整、譲渡等の促進などの業務が含まれる。ボランティアに預けた動物のための医療、外科手術、および行動サービスは、動物の福祉を促進し、LOSを最小化する方法で提供されなければならない。(2.2)
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022