動物の取り扱い

“The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”※(ASVによる避妊去勢プログラムにおける獣医療ガイドライン2016;以下「S/Nガイドライン」)から、犬猫の避妊去勢プログラムにおける動物の取り扱いについて見ていきましょう。

 

Patient handling and housing患者の取り扱いと住居

 

動物の預かり

Dogs that do not walk willingly on a leash should be carried when possible. 

鎖につながれた状態で喜んで歩かない犬は、できるだけ抱き抱えるべきである。(p167L)

 

Cats exhibiting signs of fractious or feral behavior should be transported in covered traps or other transport carriers.

手に負えない、または人馴れしていない行動の兆候が見られる猫は、カバーをかけた捕獲器や移動用キャリーケースで移動すべきである。(p167L)

 

【のらぬこの解説】

避妊去勢手術のために動物を預かる際の注意点は、一般の獣医療と同じです。ただし避妊去勢プログラムの多くは飼い主のいない猫を対象とするため、人馴れしていない猫の取り扱いについては特に注意が必要です。

 

鎮静・麻酔中の動物の取り扱い

The head and neck should be supported and maintained in straight alignment with the patient’s body to promote optimal airway patency. 

気道の確保を促すため、頭と首を支え、患者の体とまっすぐに一致させるべきである。(p167R)

 

The patient’s torso should be continuously supported to avoid stressing joints. 

患者の胴体は、関節に負担がかからないように継続的に支えるべきである。(p167R)

 

Patient comfort should be continuously addressed by ensuring proper thermoregulation and managing stress and pain.

適切な体温調節を行い、ストレスや痛みを管理することで、患者の快適性を継続的に確保するべきである。(p167R)

 

【のらぬこの解説】

鎮静剤投与後、もしくは麻酔中の動物の取り扱いには、特別な配慮が必要です。身体が脱力していて、自力での体温調節も難しいからです。特に気道の確保、体に負担がかからない移動、体温管理について注意が必要です。

 

※JAVMA • Vol 249 • No. 2 • July 15, 2016 -https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/249/2/javma.249.2.165.xml