麻酔時のモニタリング(各論の2)

“The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”※(ASVによる避妊去勢プログラムにおける獣医療ガイドライン2016;以下「S/Nガイドライン」)から、避妊去勢手術時の麻酔モニタリングの具体的内容について見ています。

 

Monitoring モニタリング(続き)

 

Jaw tone 顎の緊張

An important caveat is that pediatric puppies normally lack mandibular tone; therefore, jaw tone should not be used to assess anesthetic depth in these patients.

重要な注意点として、幼齢の子犬は通常、下顎の緊張がないため、これらの患者の麻酔深度の評価に下顎の緊張を使用すべきではない。(p172L)

 

【のらぬこの解説】

顎の緊張度は、麻酔深度の指標として用いられます。麻酔中の患者の下顎を軽く持ち上げ、抵抗を見ます。口を開けるときに抵抗を感じる(=顎の緊張が強い)ことは、麻酔が弱すぎることを示します。この抵抗は、麻酔が深くなるにつれて減少します。麻酔が手術面より深い場合は、顎の緊張が完全になくなります。ただし幼齢の子犬の場合、この方法は使えません。

 

Eye position and pupil size 眼球の位置と瞳孔の大きさ

In general, a central eye position with dilatation of the pupils indicates a potentially life-threatening depth of anesthesia. 

一般に、瞳孔の拡張を伴う中心位は、生命を脅かす可能性のある麻酔深度を示す。(p172L)

 

Moderate ventral rotation of the eyes often indicates an adequate surgical plane of anesthesia in most species but is dependent on the drug combination used for anesthesia.

眼球の中等度の腹側回旋は、ほとんどの動物種で適切な麻酔面を示すことが多いが、麻酔に使用する薬剤の組み合わせに左右される。(p172L)

 

【のらぬこの解説】

眼球の位置は麻酔が軽いときは中央で、手術面では腹側、それより麻酔が深くなると再び中央になります。したがって、眼球が中央にあるときに、他の指標をチェックすることが重要です。ただし一部の薬物は麻酔深度に関係なく眼球を中心にするので注意が必要です。

 

Palpebral reflex 瞬目反射

A diminished palpebral reflex is a sign of greater anesthetic depth. 

瞬目反射の低下は、麻酔の深度が大きいことを示す。(p172L)

 

【のらぬこの解説】

瞬目反射の有無は、麻酔深度の信頼できる指標で、猫では第一の指標です。目頭または目尻の内側の皮膚を指で軽くたたいて、患者がまばたきするかどうかを確認します。瞬目反射がない場合、麻酔が効きすぎている可能性があるため、速やかに獣医師に伝える必要があります。必ず両目をチェックします。

 

※JAVMA • Vol 249 • No. 2 • July 15, 2016 -https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/249/2/javma.249.2.165.xml