余剰麻酔ガス対策とハイリスク患者の麻酔

“The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”※(ASVによる避妊去勢プログラムにおける獣医療ガイドライン2016;以下「S/Nガイドライン」)から、避妊去勢手術時の余剰ガスの処理とハイリスク患者の取扱いについて見ていきましょう。

 

Mitigating waste anesthetic gas exposure 余剰麻酔ガスの暴露軽減

In addition to performing daily leak tests and using properly functioning scavenging systems, several other measures should be routinely employed to limit waste gas release:

毎日漏出試験を行い、適切に機能する余剰ガス除去装置を使用することに加え、余剰ガスの放出を制限するためにいくつかの他の手段を日常的に採用すべきである。(p174L)

 

【のらぬこの解説】

吸入麻酔の際に麻酔ガスが漏れだすと、そのガスが環境汚染の原因になることがありますので、漏出防止のための対策が必要です。その具体的な方法については「S/Nガイドライン」で列挙されていますが、簡単に言うと

・気管内チューブの適切な使用

・麻酔器の適切な使用(特に気化器をオフにするタイミング)

・気化器に麻酔薬を補充する際の換気

といったことになります。

 

High-risk patients ハイリスク患者

Anesthetic protocols for high-risk patients should rely less on agents that cause marked cardiorespiratory depression and might include the use of reversible agents, supplementation with oxygen and fluids, and intubation if airway patency is questionable. 

ハイリスク患者に対する麻酔手順には、心肺抑制を引き起こす薬剤への依存度を下げ、可逆的薬剤の使用、酸素と輸液の補給、気道確保に疑問がある場合の挿管などを含むべきである。(p174L)

 

The veterinarian or a designated and supervised member of the care team should communicate with the owner, caregiver, or authorized agent of high-risk patients specifically about the patient’s anesthetic risk.

獣医師または医療チームの指定され監督されたメンバーは、ハイリスク患者の所有者、世話人、または正当な代理人と、患者の麻酔リスクについて特にコミュニケーションをとるべきである。(p174L)

 

【のらぬこの解説】

「ハイリスク患者」とは、全身麻酔のリスクが高いと判断された動物のことで、具体的には短頭種、老齢、重度の疾病などがあげられます。ハイリスク患者に麻酔を施す際には、慎重な麻酔手順を採用することはもちろん、そのリスクについて飼い主等とよく話し合うべきです。

 

※JAVMA • Vol 249 • No. 2 • July 15, 2016 -https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/249/2/javma.249.2.165.xml