手術場所の環境

“The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”※(ASVによる避妊去勢プログラムにおける獣医療ガイドライン2016;以下「S/Nガイドライン」)から、避妊去勢手術の手術場所の環境について見ていきましょう。

 

Guidelines for Surgical Care 手術のガイドライン

【のらぬこの解説】

「S/Nガイドライン」はいよいよ実際の手術についての指針に入ってきます。とはいえ、この章は獣医師だけが理解すればよいというものではありません。手術そのものは獣医師だけが行いますが、サポートはスタッフ全員で行います。適切なサポートがあってはじめて、獣医師は手術に専念できるのです。ここではHQHVSN(高品質かつ大量の避妊去勢手術、いわゆる一斉手術)を念頭に、動物の避妊去勢手術に必要な、獣医療としての最低基準が示されています。

 

Operating area environment 手術場所の環境

The operating area should be a room or space in which anesthesia, surgery, and immediate postoperative recovery can be safely performed. 

手術場所は、麻酔、手術、および術後すぐの回復を安全に行うことができる部屋または場所であるべきである。(p174R)

 

The necessary equipment for performing anesthesia and patient monitoring should be present and readily available. 

すぐに利用できる、麻酔機器やモニタリング機器が備えられているべきである。(p174R)

 

Traffic within the operating area should be limited to essential personnel. 

手術室内の移動は、必要な人員に限定すべきである。(p174R)

 

Sanitation procedures should be carried out on a regular schedule.

衛生管理は定期的に実施すべきである。(p174R)

 

【のらぬこの解説】

「これが手術室に求められる要件なのか」と拍子抜けされた方もおられるでしょう。たしかに一般の動物病院(固定式のいわゆるスペイクリニックもそうでしょうが)であれば当たり前のことがここには書かれています。しかしいわゆる一斉手術は仮設の手術室を用いて実施することもあります。その際には少なくとも専用の場所(必ずしも部屋である必要はない)、最低限の機器、そして衛生管理が必要になります。仮設の会場を確保する際には、それらの点を念頭に置く必要があります。

 

※JAVMA • Vol 249 • No. 2 • July 15, 2016 -https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/249/2/javma.249.2.165.xml