“The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”※(ASVによる避妊去勢プログラムにおける獣医療ガイドライン2016;以下「S/Nガイドライン」)から、避妊去勢手術の際の手術パックの準備について見ていきましょう。
Surgical pack preparation 手術パックの準備
Instruments must be cleaned prior to sterilization.
滅菌の前に器具を洗浄しなければならない。(p174R)
The date of and person responsible for sterilization of packs should be identifiable.
パックの滅菌を行った日付と責任者を特定できるようにすべきである。(p174R)
A sterility indicator should be located inside and outside the pack.
滅菌インジケータをパックの内外に設置すべきである。(p174R)
The outer wrap material must provide a minimum microbial barrier equivalent to dry 270–thread count pima cotton.
外包装の素材は、乾燥した270スレッドカウントのピマコットンと同等の微生物バリアを最低限提供しなければならない。(p174R)
Additionally, the wrap material and pack storage conditions must ensure sterility for the longest anticipated pack turnover interval.
さらに、包装材とパックの保管条件は、予想される最も長いパックの交換間隔において無菌性を確保するものでなければならない。(p174R)
【のらぬこの解説】
手術パックとは、1頭の手術に必要な手術器具を布などでくるんで滅菌したものです。手術パックは原則として、手術を行う動物の数だけ必要です。手術予定の頭数よりも手術パックが少ない場合は、使った器具を洗浄してその場で滅菌します。滅菌は蒸気やガスで行いますが、ガスは毒性が高くコストもかかるため、オートクレーブを用いた蒸気滅菌が主流です。
手術パックに「滅菌インジケータ」を付けることがあります。これは滅菌すると色が変わる札で、必ずしも滅菌状態を保証するわけではありませんが、未滅菌と滅菌済みのパックの区別に役立ちます。
手術パックを包む包装材にはさまざまな素材がありますが、270スレッドカウントの(つまり1インチ四方に270本の糸が使われた)ピマコットン(アメリカ産の綿の一種)と同等の微生物バリアを備えている必要があります。荒い繊維だと、せっかく滅菌した器具が再汚染してしまうからです。とはいえ、細かい繊維であっても時間の経過によって微生物が内部に入り込む可能性は高まりますから、滅菌後の手術パックはできるだけ早く使用するべきです。
※JAVMA • Vol 249 • No. 2 • July 15, 2016 -https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/249/2/javma.249.2.165.xml