患者の準備

“The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”※(ASVによる避妊去勢プログラムにおける獣医療ガイドライン2016;以下「S/Nガイドライン」)から、避妊去勢手術前の患者の準備について見ていきましょう。

 

Patient preparation 患者の準備

The following issues should be considered during patient preparation.

患者の準備においては、以下の点を考慮するべきである。(p174R)

 

【のらぬこの解説】

この項では、避妊去勢手術前の患者の準備について述べられています。考慮すべき「以下の点」は次のとおりです。

・膀胱を空にする

・皮膚の毛刈りと消毒

・体の保定

・ドレープをかける

それぞれについて見ていくことにしましょう。

 

Bladder 膀胱

If performed, caution should be exercised during bladder expression.

(強制排尿を)実施する場合には、膀胱開放時に注意を払うべきである。(p174R)

 

If excessive pressure is necessary to express the bladder preoperatively and bladder expression is deemed necessary, urethral patency should be evaluated and expression should be delayed until deeper planes of anesthesia are attained or intraoperative examination and surgical expression are possible.

術前に膀胱を押し出すのに過度の圧力が必要で、膀胱の押し出しが必要と思われる場合は、尿道の開通性を評価し、より深い麻酔面が得られるか、術中の検査と手術による押し出しが可能になるまで押し出しを遅らせるべきである。(p174R)

 

【のらぬこの解説】

特にメスの避妊手術の場合、膀胱を空にしておくと手術が楽なので、手術前(麻酔導入後)に腹部を押して強制排尿させます。オスの去勢手術の際は不要ですが、停留精巣の摘出で開腹する場合には膀胱を空にしておく必要があります。膀胱を押すには多少コツが必要で、特に膀胱の解剖学的位置を確認しておく必要があります。

 

※JAVMA • Vol 249 • No. 2 • July 15, 2016 -https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/249/2/javma.249.2.165.xml