縫合糸

“The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”※(ASVによる避妊去勢プログラムにおける獣医療ガイドライン2016;以下「S/Nガイドライン」)から、避妊去勢手術の縫合糸について見ていきましょう。

 

Suture materials 縫合糸

Sutures or surgical clips must be of biomedical grade, approved for medical use, sterile, and dated for current use. 

縫合糸または外科用クリップは医療用グレードで、医療用として承認されており、滅菌済で、使用期限内のものでなければならない。(p176L)

 

【のらぬこの解説】

縫合や結紮に用いる縫合糸は手術後に体内に残るものですから、その材質は意外に大事です。安い「練習用」の縫合糸も市販されていますが、手術の際には必ず「医療用」のものを用いる必要があります。

 

Materials must be absorbable or inert and nonabsorbable. 

(縫合糸の)材質は吸収性または非吸収性かつ非反応性のものでなければならない。(p176L)

 

【のらぬこの解説】

縫合糸には一定期間を経過すると体内で分解する「吸収糸」と、そのままずっと残る「非吸収糸」があります。非吸収糸の材質が生体反応を引き起こすものでは非常に都合が悪いのです。

 

Suture materials supplied in individual packets or on a reel or cassette are acceptable and should be used according to manufactures’ guidelines. 

縫合糸は、個別のパッケージまたはリールやカセットに入った状態のものでもよいが、メーカーの指示に従って使用すべきである。(p176L)

 

【のらぬこの解説】

縫合糸には針付きで個包装されたもの、針なしで個包装されたもの、またはカートリッジに入っていて、必要量だけ出して使うものなどがあります。避妊去勢プログラムの場合、コスト面からカートリッジ入りの縫合糸に都度針を付けて使うパターンが多いと思います。

 

Suture material must not be shared among patients owing to the risk of disease transmission.

感染のリスクがあるため、縫合糸は患者間で使い回してはならない。(p176L)

 

【のらぬこの解説】

また金属製のワイヤーを除き、縫合糸を滅菌して再利用することもできません。

 

If reusable needles are used, they must be cleaned and resterilized between patients.

再利用可能な針を使用する場合は、患者間で洗浄し、再滅菌しなければならない。(p176L)

 

【のらぬこの解説】

使い捨てではない針は、洗浄・滅菌ののちに再使用することができます。

 

※JAVMA • Vol 249 • No. 2 • July 15, 2016 -https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/249/2/javma.249.2.165.xml