手術済動物の識別措置 その3

“The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”※(ASVによる避妊去勢プログラムにおける獣医療ガイドライン2016;以下「S/Nガイドライン」)から、避妊去勢手術済の動物の識別措置について見ています。

 

Identification of neutered animals 手術済動物の識別措置 ※続き

 

メスのタトゥー施術

For female animals, the tattoo should be applied directly on or immediately lateral to the ventral midline incision. 

メスの場合、タトゥーは腹側正中線の切開部分に直接、またはそのすぐ横に入れるべきである。(p176R)

 

If a flank approach is used to spay a female patient, the tattoo should be placed in the area where a ventral midline spay incision would have been placed. 

メスの避妊手術に脇腹からのアプローチを用いる場合は、腹側正中線の避妊手術の切開部にタトゥーを入れるべきである。(p176R)

 

【のらぬこの解説】

避妊去勢手術済みの動物にタトゥーを入れる目的は、それとわかるサインを示すことで不要な再手術を防止するためですから、通常の避妊去勢手術において切開すると予測される部位に入れるべきです。脇腹からの切開(あまり目にする機会はありませんが)の場合は実際の切開部位ではなく、腹側正中線に入れるべきです。

 

オスのタトゥー施術

For male dogs, the tattoo should be applied to the skin in the caudal aspect of the abdomen. 

オス犬の場合、タトゥーは腹部尾側の皮膚に入れるべきである。(p176R)

 

For male cats, the tattoo should be applied in the area where a ventral midline spay incision would typically be placed. 

オス猫の場合、避妊手術の通常の切開部位である腹側正中線にタトゥーを入れるべきである。(p176R)

 

【のらぬこの解説】

オスの去勢で陰嚢を切開した場合、切開部ではなく腹部正中線にタトゥーを入れます。なぜなら、陰嚢内に精巣がないことから停留精巣が疑われた場合、そこが切開されると予測されるからです。ただしオス犬で陰嚢前部の皮膚を切開した場合、切開部や陰嚢の前部にタトゥーを入れることもあります。要するに腹部の切開をしようとする際に気が付けばよいわけです。

 

※JAVMA • Vol 249 • No. 2 • July 15, 2016 -https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/249/2/javma.249.2.165.xml