“The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”※(ASVによる避妊去勢プログラムにおける獣医療ガイドライン2016;以下「S/Nガイドライン」)から、避妊去勢手術の際の抗生物質や医療用接着剤の使用について見ていきましょう。
Use of antimicrobials 抗生物質の使用
Prophylactic antimicrobial administration may be considered, but is not necessary for every short, routine surgical procedure in healthy patients.
抗生物質の予防的投与を検討してもよいが、健康な患者の短時間の日常的な外科手術すべてに必要なことではない。(p177L)
If antimicrobials are used, they should be administered prior to surgery or as soon as a break in surgical asepsis or other indication is recognized.
抗生物質を使用する場合は、手術前に投与するか、手術の無菌状態が崩れたときやその他の徴候が認められたときに速やかに投与すべきである。(p177L)
【のらぬこの解説】
無菌手術が行われている限り、健康な動物の手術の際に抗生物質を予防的に投与する必要は必ずしもありませんが、犬猫の避妊去勢プログラムの場合、念のため手術前または手術直後に抗生物質を一律に投与していることが多いと思います。
Use of biomedical skin glue 生体用皮膚接着剤の使用
If biomedical skin glue is used to seal the skin incision, it should only be applied after satisfactory intradermal closure as described in the manufacturer’s directions and should not be applied in the wound itself.
生体用皮膚接着剤を、皮膚切開部を閉じるのに使用する場合は、製造者の指示に従って十分な皮内閉鎖を行った後にのみ使用し、創傷そのものに使用すべきではない。(p177L―177R)
【のらぬこの解説】
皮膚接着剤は十分な縫合を行ったうえで、「念のため」の補強のために最低限の量を使います。ただし、子犬の去勢手術の際に陰嚢を切開した場合、縫合の代わりに傷口を接着剤で閉じることがあります。これについて「そもそも閉じる必要はない」という意見もあります。
また皮膚接着剤は、縫合糸結紮部の補強(ほどけにくくする)や縫合部の保護にも用いることができます。
※JAVMA • Vol 249 • No. 2 • July 15, 2016 -https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/249/2/javma.249.2.165.xml