“The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”※(ASVによる避妊去勢プログラムにおける獣医療ガイドライン2016;以下「S/Nガイドライン」)から、避妊去勢手術の術後管理について見ていきましょう。
Guidelines for Postoperative Care 術後ケアのガイドライン
【のらぬこの解説】
ここからは術後のケアに入ります。術後のケアは、麻酔からの回復から退院にいたる過程を指しますが、それぞれに注意点があります。まずは麻酔からの回復から見ていきましょう。
Recovery 回復
Patients should be assessed at the completion of the surgical procedure to determine whether any conditions need to be immediately addressed or communicated to recovery personnel.
手術が完了した時点で患者を評価し、直ちに対処すべき状況があるかどうか、あるいは回復担当者に連絡すべき状況があるかどうかを判断すべきである。(p177R)
回復エリアの環境
The recovery environment should minimize the risk of complications and staff injury.
回復エリアの環境においては、合併症やスタッフの負傷のリスクを最小限に抑えるべきである。(p177R)
Designated recovery areas should allow for continuous, direct observation of each patient.
指定された回復エリアでは、各患者を継続して直接観察できるようにすべきである。(p177R)
Patient recovery should occur on a secure, level surface, such as the floor or bottom of a cage.
患者の回復は、床やケージの底部など、安全で平らな場所で行うべきである。(p177R)
Animals on elevated surfaces must be protected from falls.
高所に置かれた動物は、落下防止措置を講じるべきである。(p177R)
All areas should be clean, dry, and warm.
エリア全体の清潔、乾燥および暖かさを保つべきである。(p177R)
Loud noises should be minimized to reduce emergence delirium.
せん妄の発生を抑えるため、騒音は最小限にすべきである。(p177R)
【のらぬこの解説】
回復場所に求められる条件は、各患者を継続的かつ直接的観察が可能であることと、犬と猫を分離できることです。回復場所は必ずしも「部屋」である必要はありませんが、静かで乾燥し暖かい場所である必要があります。子犬や子猫の場合、体温保持や不安軽減の観点から、同腹仔を一緒に置くことが奨励されますが、回復の経過は個体ごとに異なるのできめ細やかな観察が必要です。また子犬は互いに重なり合う傾向があるので、下敷きによる事故が起こらないよう注意が必要です。
※JAVMA • Vol 249 • No. 2 • July 15, 2016 -https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/249/2/javma.249.2.165.xml