周術期の人間工学

“The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”※(ASVによる避妊去勢プログラムにおける獣医療ガイドライン2016;以下「S/Nガイドライン」)から、周術期の人間工学について見ていきましょう。

 

Perioperative ergonomics 周術期の人間工学

Optimizing perioperative ergonomics in HQHVSN programs is crucial for occupational health and safety and warrants special consideration because of the impact on surgeon health, productivity, and long-term sustainability. 

HQHVSNプログラムで周術期の人間工学を最適化することは、労働安全衛生上非常に重要であり、執刀医の健康、生産性、長期的な持続性に影響するため、特別な配慮が必要である。(p181L)

 

Veterinarians who experience musculoskeletal discomfort should seek medical attention early in the course of the problem, rather than allowing pain to become chronic.

運動器系の違和感を感じた獣医師は、痛みを慢性化させるのではなく、問題の初期段階で医師の診察を受けるべきである。(p181L)

 

For surgeons who stand, the table should be adjusted to a comfortable height for each surgery. 

立って手術をする執刀医は、手術ごとにテーブルを快適な高さに調整するべきである。(p181L)

 

【のらぬこの解説】

おそらくこの項はWhite先生が執筆されているのでしょう。White先生はMASH(仮設手術室で行う一斉手術)の執刀医として活躍する傍ら、獣医師の人間工学について研究されているなかなかオモシロい方です。

特にHQHVSNと呼ばれるいわゆる一斉手術は、長時間にわたり多数の動物の避妊去勢手術を実施するため、執刀医は筋肉や関節などの不調を訴えがちです。この項ではそれを予防する方法について述べられています。ここでは要点のみをまとめておきます。

 

・手術は極力座って行う。もしくは、立ったり座ったりを繰り返す

・立ったまま手術を行う場合、足元にクッション性のあるフロアマットを敷く

・もしくは、クッション性のある靴やインソールを使用する

・同じ姿勢は避け、定期的に態勢を変える

・定期的に首や肩のストレッチや、マイクロポーズ(筋肉をリラックスさせるような動作)を行う

・適切な手術手技や器具の使用により、不自然な姿勢や関節に負荷がかかる操作を極力少なくする。

・身体的不調を感じたら、速やかに医療機関を受診する

 

※JAVMA • Vol 249 • No. 2 • July 15, 2016 -https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/249/2/javma.249.2.165.xml