ここまで“The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”※（ASVによる避妊去勢プログラムにおける獣医療ガイドライン2016；以下「S/Nガイドライン」）の内容について見てきましたが、最後にいいことが書かれているので少々長いですが引用しておきます。
Conclusions 最後に ※続き
獣医師たちへのメッセージ
By following these guidelines, spay-neuter programs provide quality veterinary care and succeed in their missions to provide humane methods for neutering large numbers of cats and dogs. At this time, HQHVSN programs offer the best approach to reducing shelter impoundment and euthanasia of cats and dogs. Furthermore, they represent the most financially responsible and humane way for communities to increase the numbers of cats and dogs that are neutered. By engaging in this rapidly developing practice area, veterinarians can play vital roles in alleviating overpopulation and decreasing untimely euthanasia of cats and dogs, while providing HQHVSN services to cats and dogs that would otherwise be unlikely to receive such care.
これらのガイドラインに従うことで、避妊去勢プログラムは質の高い獣医療を提供し、多数の犬猫に人道的な不妊手術を施すという使命を果たすことができる。現時点では、HQHVSNプログラムはシェルターへの収容や犬猫の安楽殺を減らすための最良のアプローチを提供している。さらにHQHVSNプログラムは、地域社会が猫や犬の避妊去勢手術を受ける数を増やすための、最も経済的に責任のある人道的な方法である。獣医師は、この急速に発展しつつある診療分野に携わることで、犬猫の過剰繁殖を緩和し、早すぎる安楽殺を減らすために重要な役割を果たすことができ、また、通常ではそのようなケアを受けることができない犬猫にHQHVSNサービスを提供することができる。(p181R)
【のらぬこの解説】
「S/Nガイドライン」の最後は、獣医師向けのこのようなメッセージで締めくくられています。このガイドラインは避妊去勢プログラム（避妊去勢手術に特化した獣医療サービス）における獣医療の最低基準を示したものですが、特にHQHVSN（いわゆる一斉手術）を念頭に置いています。できるだけたくさんの獣医師がHQHVSNに参画することにより、犬猫の過剰繁殖問題を早期に解決していきたいというASVのメッセージがここに込められています。
そして、なぜASV（シェルター獣医師会）がこのようなガイドラインを示し避妊去勢プログラムを推進しようとしているのか、その理由を示しています。つまり犬や猫の過剰繁殖を防ぐことや、飼い主がペットを飼い続けるための支援をすることによって、結果的にアニマルシェルターに入る動物の数を減らすことができる、ひいては地域全体の動物の福祉を向上させることができるというわけです。
※JAVMA • Vol 249 • No. 2 • July 15, 2016 -https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/249/2/javma.249.2.165.xml