迷子のペットを見つけたら その10

運転中に迷子のペットを見かけたらどうするか、HSUS(米国人道協会)のホームページ“How to help a stray pet”(https://www.humanesociety.org/resources/how-help-stray-pet)から見ています。

 

Visiting a veterinarian 獣医師による診察

Before you take an injured animal to a private veterinary hospital for treatment, be willing to assume financial responsibility for the animal. Good care is not cheap, and many veterinarians have many Samaritans in their waiting rooms every year. Anyone who is committed to trying to save injured stray animals should discuss these issues in advance with the veterinarian.

怪我をした動物を治療のために私立の動物病院に連れて行く前に、その動物の経済的責任を喜んで引き受けてください。良いケアは決して安くはありません。そして多くの動物病院の待合室には、毎年多くの心優しき人たちがいます。怪我をした迷子の動物を救おうとする人は誰でも、獣医師と事前にこれらの問題について話し合う必要があります。

 

【のらぬこの解説】

日本の場合、負傷動物は自治体に収容義務がありますから、負傷した犬や猫は動物愛護管理センターに収容し、応急処置を施すことになります。しかし前述のとおり、アニマルシェルターや動物管理機関では、けがをした動物の応急処置はできますが、必ずしも治療のためのリソースを持ち合わせているとは限りません。飼い主がいそうな動物であれば、飼い主が名乗り出るまでなんとか応急処置でしのぎ、飼い主が見つかれば、飼い主自身に動物病院に連れて行ってもらうことになります。

飼い主がどうしても見つからない動物で、十分なケアを施すことができない場合(シェルターの都合による場合を含む)、動物を苦しめるくらいなら安楽殺を選択することもあります。これは動物福祉の理念に基づく国際的認識です。私もかつて動物愛護管理センターで負傷動物の応急処置を行ってきましたが、飼い主が見つかる可能性が低く、かつこれ以上の治療が難しい場合は、安楽殺を選択することもしばしばありました。その中にはお金と人手と時間をかけて治療すれば、譲渡に至ったかもしれない動物も少なからずいました。私はこのような現実を目の当たりにしているので、たとえ法的に正解であったとしても、「負傷動物を見つけたら自治体に通報しましょう」とはあまり言いたくはありません。負傷動物をどうしても助けたいのであれば、治療費を肩代わりする覚悟で動物病院に連れて行ってほしいと思います。もちろん飼い主が見つかった場合は、その費用は飼い主に請求すべきですし、まともな飼い主であれば喜んで支払ってくれるでしょう。