アニマルシェルターに滞在する動物の数を適正化するためには、動物がいかにシェルターに入り、そして出ていくのかを理解する必要があります。そこで、シェルターへの動物の出入りについて簡単にまとめておきましょう。まずはシェルターに動物が入る理由について見ていきましょう。
動物がシェルターに入る理由
基本的にシェルターに入ってくる動物は「飼い主が飼育放棄した動物」または「飼い主不明、もしくは飼い主がいない動物」ですが、必ずしもそれだけとは限りません。シェルターに入る動物の数を減らすためには、これらのパターンを個別に分析する必要があります。
1.飼い主の飼育放棄
飼い主が何らかの理由でペットを飼えなくなり、シェルターが引取るパターンです。飼い主が自らの意志でペットを持ち込むこともありますし、飼い主が死亡し後に残されたペットを引取ることもあります。
2.飼い主不明の動物
「飼い主不明」には2つの意味があります。単に飼い主からはぐれてしまい、飼い主が判明していない「迷子」動物と、そもそも飼い主がいない「野良」動物です。純血種や首輪が付いているなど、明らかにペットであると判断できる場合を除き、迷子なのか野良なのかは見た目ではわかりませんから、同じ括りになっています。
3.他のシェルターからの転入
シェルターの収容能力を超えてしまった、動物に十分なケアを提供するリソースがない、地方で思うように譲渡が進まないといった理由で、シェルターの収容動物が他のシェルターに移されることがあります。
4.その他
その他、このような理由で動物がシェルターに収容されることもあります。
法的措置 米国では法的手続きを踏めば、行政機関が不適切な飼い主からペットを押収することができます。シェルターはそういった動物の保管業務も担っています。また日本では警察が遺失物として預かった動物の飼い主が2週間たっても判明しない場合、自治体の動物管理施設に引き渡すことができます。これも法的措置の一種といえます。
入院 多くのシェルターには譲渡対象の動物を避妊去勢手術するためのクリニックが併設されています。そこにペットや野良猫を受入れ、避妊去勢手術を行うサービスが行われています。
一時預かり 何らかの理由で飼い主がペットのケアができない場合、やむを得ずシェルターが動物を預かることがあります。最近では、飼い主が新型コロナウイルス感染症に罹患し隔離が必要になった際に、隔離期間中にペットを預かったというケースがあります。