シン・シェルターメディスン超入門(8)動物がシェルターから出る理由

アニマルシェルターに滞在する動物の数を適正化するためには、動物がいかにシェルターに入り、そして出ていくのかを理解する必要があります。前回に引き続き、今回はシェルターから動物が出ていく理由について見ていきましょう。

 

シェルターから動物が出ていく理由

シェルターから動物が出ていくには2つのパターンがあります。生きたまま出るか、死体になって出るかです。特に前者を「ライブリリース」といい、できるだけこれを目指すべきとされています。ライブリリースには「譲渡」「返還」「移送」「RTF」「その他」が含まれます。

 

譲渡

シェルターに収容された飼い主不明の動物に一定のケアを行い、新しい飼い主に譲り渡すことを日本の行政用語では「譲渡」といいます。英語ではAdaption(養子縁組)と表現されます。また動物を譲り渡すのではなく、個人に預けることをFoster care(里親ケア)といいます。またそれらを総称してRehoming(住み替え)と言ったりもします。

 

返還

迷子のペットを元の飼い主に返すことを日本の行政用語では「返還」といいます。迷子札やマイクロチップなどにより飼い主が判明し、シェルターから連絡する場合もありますし、収容公示を見た飼い主が名乗り出ることもあります。

 

移送

諸般の事情によりその動物に十分なケアを提供できない場合、または他の地域の方が早く譲渡できると判断された場合などには、他のシェルターやレスキューグループ(シェルターを持たない、里親主体の動物保護団体)などに動物を移送することがあります。

 

RTF

シェルターに収容された野良猫のうち性格的に譲渡不適と判断された個体については、避妊去勢手術を施した後で保護した場所に戻すことがあります。これをReturn-to-Field(RTF)といいます。“Feral Freedom”や“Shelter-Neuter-Return(SNR)”も同じ意味です。

 

その他のライブリリース

逸走 あってはならないことですが、シェルターから動物が逸走することもあります。

入院 シェルターでは治療が難しい場合、動物を外部の動物病院に入院させることがあります。

保有 イベントのモデル犬や看板猫などとして、そのままシェルターで飼われることもあります。

 

安楽殺

収容された動物がけがや病気で苦しんでいる場合、その苦しみから解放するために安楽殺が実施されることがあります。また何らかの理由により(シェルター都合を含む)動物の福祉が担保できない事態が生じた場合、安楽殺が検討されることがあります。

 

死亡

けがや病気の動物がシェルターに収容された場合、そのままシェルターで亡くなることがあります。