アニマルシェルターに動物が入ってくる理由の一つが「飼い主の持ち込み」です。ペットを飼いきれなくなった、もしくは飼う気がなくなった飼い主が自分のペットをシェルターに持ち込み、引取りを求めるのです。今回はそれをいかに防ぐかについて考えてみたいと思います。
ペットの引取りの流れ
シェルターが飼い主からペットの引取りを求められた場合、極力受け入れないための流れは次のとおりです。
1 飼えなくなった理由を聞き取り、何らかのサポートにより飼育が続けられるか否かを判断する
2 飼育続行が不可能と判断された場合、飼い主自らが譲渡先を見つけるためのサポートを行う
3 譲渡先が見つからない場合、または時間的余裕のない場合、里親(預かりボランティア)に預けることも検討する
4 真にやむを得ないと判断された場合には引取りを行う
「引取り拒否」はどうなの?
日本の「動物愛護法」第7条第4項ではこう規定されています。
動物の所有者は、その所有する動物の飼養又は保管の目的等を達する上で支障を及ぼさない範囲で、できる限り、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(以下「終生飼養」という。)に努めなければならない。
そして「動物愛護法」施行規則第21条の2では「引取りを求める犬又は猫の飼養が困難であるとは認められない理由により引取りを求められた場合」や「あらかじめ引取りを求める犬又は猫の譲渡先を見つけるための取組を行っていない場合」などに該当する場合、自治体は犬猫の引取りを拒否することができるとされています。
これらの条文を盾に、各自治体は飼い主が死亡したり、逮捕・収監された(意外にこのケースは多い)といった特殊事情を除き、ペットを引取らないことを原則としています。引取らなければ、殺処分の可能性のある動物を抱えなくても済むからです。しかし一律にペットの引取りを拒否することは「殺処分ゼロ」という自治体の体面のためには重要なことかもしれませんが、不適切な飼い主にペットを押し返すことが何を意味するのか、胸に手を当ててよく考えてみなければなりません。
しかし私は何も「ペットはすべて引取れ」と言っているわけではありません。何らかの理由で泣く泣く愛するペットを手放さざるを得ない飼い主に対しては、これからもペットと一緒に暮らしていけるための提案、またはこれから先も会いに行けるような譲渡先を探すためのサポートなどをしていくべきですし、逆に「早く引取れ、引取らないなら山に放して撃ち殺す」などと恫喝するような飼い主からは、1日でも早くペットを引取った方がよいです。一律に「引取り拒否」するのではなく、それぞれのペットの幸せを最優先して個別に考えていかねばなりません。