飼い主が自分のペットを手放そうとしている理由が「飼い方がわからない」のであれば、飼い主にペットの飼い方を教育することにより、飼い主が飼養し続けることができるかもしれません。その結果、シェルターに収容すべき動物の数を減らすことができます。
何を教育するか
ペットショップ等が動物(哺乳類、鳥類、爬虫類)を販売する際には、その動物の特徴や適切な飼養方法等について、購入者に対して対面で文書を用いて説明する(対面説明)ことが義務づけられています。説明しなければならない項目の中に、「当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項」が含まれています。その内容については、環境省からひな形が示されています。例えば哺乳類の場合はこのとおりです。
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/manu_dealer/mammal.pdf
ペット動物販売業者用説明マニュアル (哺乳類)
ここには哺乳類を飼う際の一般的注意事項(繁殖制限の必要性や人と動物の共通感染症など)のほかに、犬や猫など動物種ごとの個別事項も記載されています。その内容には
(1) 分類、品種、特性
(2) 習性、生理(寿命、習性、生理、社会化期)
(3) 飼養上必要な設備、機材及び環境など
(4) 飼い方のポイントと注意点(食事と栄養管理、運動、しつけの基本、迷惑防止、繁殖制限)
(5) 健康と安全の管理(品種によりかかりやすい病気、主な感染症とその予防、人と動物の共通感染症)
(6) 飼養上の知っておきたい法律、手続き等
といった事項が含まれています。いずれもペットを飼う際には必ず知っておかなければならないことです。特にペットを譲り受けたり拾得したりした場合、こういった説明を受ける機会はありませんから、少なくともここに挙げたくらいの事項についてはシェルターが飼い主に情報提供すべきです。
ペットの飼い方相談
とはいえ、ここに書かれているのはあくまでも最低限知っておきたいことですので、ここに書かれていない事項についての具体的な相談については、シェルターが受けることになると思います。何度も言いますが、ここで相談を受けることがシェルターに動物を入れないための第一歩であるという認識が必要です。
ペットの健康相談
ペットの健康相談についても、一般論であればシェルターで答えてもよいと思います。またシェルターでは手に負えない疾病や行動上の問題などについては、かかりつけの動物病院に相談するよう促します。もしかかりつけ医がなければ、この機会にかかりつけ医を探すよう指導することも重要な飼い主教育です。動物病院はペットの怪我や病気の際だけに行く場所ではなく、生涯にわたるペットの健康管理の拠点だからです。