迷子のペットに迷子札が付いていて、保護した人が飼い主に直接返すことができれば、動物がシェルターに入ることは回避できます。しかしそうではない場合、動物はいったんシェルターに入ることになります。シェルターに入ってしまった動物を一日も早く飼い主に返すことは、シェルターの重要な業務です。シェルター統計では、飼い主に返還できた動物の数の割合をRTO(Return-to-Owner)率と呼んでいて、シェルター事業の評価指標のひとつとされています。
飼い主の特定
ペットを飼い主に返還する最も早い方法は、動物そのものが持つ情報から飼い主を特定し、連絡することです。シェルターに入れてしまう前に首輪や迷子札を確認し、マイクロチップのスキャンを実施します。また登録が義務づけられている犬(自治体によっては猫も)の場合、珍しい品種であればそれだけで飼い主を特定できることがあります。個体識別措置がない柴犬(これ結構多い)ともなると、飼い主の特定は絶望的です。
迷子情報の収集
ペットが迷子になったという飼い主からの情報をあらかじめ得ていれば、似たような動物が持ち込まれた際にすぐに対応できます。自治体によっては情報共有されているかもしれませんが、ペットが迷子になった際には最低限、保健所(または動物愛護管理センター)と市町村の担当課、警察署の3か所には連絡しておいた方がよいです。
告示および公示
行政機関(米国では、行政機関から委託を受けている民間のアニマルシェルターを含む)が迷子のペットを保護した場合、一定期間収容して飼い主が名乗り出てくるのを待ちます。その際には「このような動物を保護しています」という公示を行います。日本の場合、適用される法律によって2つのパターンに分かれます。
遺失物法が適用された場合:警察署が「告示」を行い、3か月間に飼い主が名乗り出ない場合、拾得者(保護した人)に所有権が移ります。ただし飼い主が名乗り出ないまま2週間を経過した時点で、売却または処分※することができます。
動物愛護法および狂犬病予防法が適用された場合:生後3か月以降の犬の場合、市町村が2日間「公示」し、その後1日経過しても飼い主が名乗り出ない場合、処分※することができます。子犬やその他の動物にそのような規定はなく、公示期間は各自治体が独自に定めています。
どちらの法律が適用されるかは主に警察署の裁量によるので一概に言えませんが、純血種の犬や猫、明らかに日本に生息していない種類の動物といった場合には「遺失物法」が適用され、野良犬や野良猫の可能性が高ければ「動物愛護法」が適用されることが多いようです。
※ここでいう「処分」には個人への譲渡やボランティアへの引き渡しなども含まれ、必ずしも殺処分を意味するものではありません。