シン・シェルターメディスン超入門(50)ペットフードの選び方

前回ご紹介したとおり、アニマルシェルターに収容された犬や猫には「総合栄養食」と表示されたフードを与えます。では「総合栄養食」とは何なのでしょうか。

 

ペットフードの分類

ペットフードには、必要な栄養素をバランスよく含んだ「総合栄養食」、病気のケアに用いる「療法食」、おやつやご褒美に用いる「間食」、そして「その他の目的食」があります。そのうち主食として日常的に与えるフードが「総合栄養食」です。

 

総合栄養食とは

総合栄養食はいわゆる「完全食」で、動物種やライフステージに合わせた総合栄養食と水を与えればそれで事足ります。総合栄養食として必要な基準はAAFCO(米国飼料検査官協会)で定められていて、AAFCOによる成分検査や給与試験により基準に適合していると認められたものだけが「総合栄養食」と表示できます。日本ではペットフードの業界団体である「ペットフード公正取引協議会」がAAFCOの基準をもとに検査や試験を行い、基準に適合しているものだけが「総合栄養食」と表示できます。

 

総合栄養食の種類

総合栄養食は対象となるライフステージにより「幼犬・幼猫期/成長期またはグロース」、「成犬期・成猫期/維持期またはメンテナンス」、「妊娠期・授乳期」、そして「全成長段階またはオールステージ用」に分かれます。当然ですが、アニマルシェルターで使いやすいのは「全成長段階またはオールステージ用」です。

 

給餌量

動物種やライフステージ、体重などから1日の必要カロリーを計算することができ、獣医栄養学の教科書にも各種計算式が示されています。しかしこれはあくまでも推定値であり、またそれに合わせてフードを調整するのも手間なので、アニマルシェルターにおいては「総合栄養食のフードを表示されている量だけ与える」というのが正解です。あとは動物のBCS(後述)をモニタリングしながら調整していきます。

 

フードに関する注意点

その他フードに関する注意点は次のとおりです。

 

間食はほどほどに

間食(おやつやご褒美)を与えすぎると、せっかく総合栄養食を与えていても栄養バランスが崩れますので、間食は総摂取カロリーのうち犬は20%以内、猫は10%以内が望ましいといわれています。

 

生ものや手作りのフードは避ける

生肉や生魚、また手作りのフードは栄養バランスに懸念がありますし、食中毒のおそれもあるので推奨されません。

 

安いフードは結局高くつく

安いフードは総じて栄養価が低く、たくさん与える必要があります。またその結果、糞便も増えてしまいます。私もディスカウントストアの激安フードを買ってえらい目にあったことがあります。