シン・シェルターメディスン超入門(54)外囲いの清掃

アニマルシェルターにおける施設の清掃で最も気を遣うのが、ケージなど動物に直接触れる外囲い(primary enclosure)です。外囲いの中を清潔に保たなければならないのはもちろんですが、収容動物にストレスを与えないことも重要だからです。

 

外囲いの清掃の基本

外囲いは少なくとも1日1回清掃する必要があります。その際には動物のストレスを考え、毎日同じ時刻に同じスタッフが清掃することが理想です。また清掃用具や作業者の着衣、手袋などを各部屋で共有しないことが重要です。

同じ動物が滞在し続けるのであれば清掃のみで消毒は不要ですが、汚れがひどい場合や新しい動物を入れる際には消毒が必要です。

 

中の動物をどうするか

外囲いの清掃の際には、動物を一時退避させる必要があります。そのためシェルターにおいては2居室(double compartment)のケージが推奨されています。清掃の際にはもう片方の居室に動物を追い込み、間の扉を閉めておけばよいわけです。

1居室のケージの場合、犬であれば清掃の際に一時的に外に係留しておくことができますが、猫の場合は移動用ケージに移す必要があります。しかし1つのケージを複数の猫に用いる際には都度洗浄消毒が必要です。そのため、猫を受入れた際に専用の段ボール製のケージを割り当て、清掃中の一時退避用ケージとして用い、猫を譲渡する際にそのケージに入れて引き渡すという工夫を行っているシェルターもあります。

 

スポットクリーニング

特に猫の場合、清掃の際の移動や匂いの消失がストレスの原因になるため、猫をケージに入れたまま最低限の清掃を行う「スポットクリーニング」が推奨されています。もちろん汚れがひどいときや、猫を入れ替える際には本格的な洗浄消毒が必要です。

 

清掃の順序

清掃の順序は「きれいな場所を汚さない」ことを基本とします。順序としては幼齢動物→健康な譲渡対象動物→一時収容中の動物→不健康な動物を基本とします。積み上げ式のケージの清掃は、必ず上段から始めます。

 

物品の洗浄消毒

食器やおもちゃの洗浄は食器洗い乾燥機を用いるのが理想ですが、手洗いの場合は「3つのステップ」に基づき洗浄消毒します。猫のトイレは食器やおもちゃとは別の場所で、または最後に洗浄消毒します。布類は洗濯後に完全に乾燥させる必要があります。真菌やパルボウイルスなどで汚染された可能性のある布類は廃棄します。