米国ではアニマルシェルターへの犬の収容数が増加しているにもかかわらず、譲渡が思うように進まないという現状があります。その際に頼りになるのがfoster(預かりボランティア)ですが、fosterのなり手も思うように見つからないといいます。Hill’s Pet Nutritionによる“2023 State of Shelter Adoption Report”(以下「レポート」)※はその原因として“foster fail dilemma”があると指摘しています。
“foster fail dilemma”とは
“foster fail dilemma”(里親失敗のジレンマ)とは、一時的のつもりで預かった動物に情が移り、結果的に自分が引取ってしまう、いわゆる“foster failing”(里親の失敗)を恐れるあまり、fosterとしての活動に踏み切れないことを指します。
「レポート」はこのような調査結果を示しています。
76% who have fostered ended up adopting a pet they fostered
38% of pet owners say they do not trust themselves to not adopt their foster animal
76%が「一時預かりのペットを、結局譲り受けてしまった経験がある」と回答
ペットの飼い主の38%が「一時預かりのペットを譲り受けない自分が許せない」と回答
しかしルイジアナSPCA代表のAna Zorrillaは「それを恐れないでほしい」といいます。
“Fosters provide a critical bridge to alleviate the impact of slow adoptions and an increase in incoming animals. I see an opportunity to reframe the foster “failure” narrative into a foster “superhero” story. Fosters don’t fail, they magnify the impact when an animal goes into a foster home temporarily or forever - the foster family, the animal going into the foster home and the organization that is able to help another animal in need all WIN - and what a great story that makes.”
「里親は、譲渡の遅れや受入れ動物の増加の影響を緩和するための重要な橋渡しをします。私は里親の「失敗」の物語を、里親の「スーパーヒーロー」の物語に書き換える機会があると思います。里親は「失敗」しません。動物が一時的に、あるいは永遠に里親の家に入るとき、その影響は拡大します-里親の家族、里親になる動物、そして困っている別の動物を助けることができる組織のすべてが勝者になる-なんてすばらしい物語でしょう。」
“foster failing”を防ぐためのヒントとして、「レポート」には以下があげられています。
Set realistic expectations and understand the goal of fostering is not adoption
現実的な期待を持ち、里親の目標が引取りではないことを理解する
Set a timeline for fostering and stick to it to prevent the temptation to adopt
一時預かりのスケジュールを設定し、それを遵守することで引取りへの誘惑を断ち切る
Play an active role in promoting the pet for adoption
そのペットの譲渡を促進するために積極的な役割を果たす
Connect with other foster parents for support
他の里親とつながり、サポートを求める
※ https://www.hillspet.com/content/dam/cp-sites/hills/hills-pet/en_us/general/documents/shelter/hills-pet-nutrition-2023-state-of-shelter-adoption-report.pdf