Hill’s Pet Nutrition(ペットフードで有名なあの会社です)による“2023 State of Shelter Adoption Report”(以下「レポート」)※から、米国における主に犬の譲渡が進まない要因について見てきましたが、「レポート」の最後はHill’s Pet Nutritionが実施している社会貢献活動について述べられています。私は決してHill’sの回し者ではないですが、具体的な活動内容をお示しすることにより何らかのヒントになればと思い、概要を紹介します。
Hill’s Pet Nutritionの社会貢献活動
Hill’sは「ペットのホームレスをゼロにする」ことを目指し、全米のアニマルシェルターを支援するためにHill's Food, Shelter & Love (HFSL) プログラムを実施し、1,000か所以上のシェルターに3億ドル以上のフードを提供しています。しかし栄養管理は動物福祉の一要素にすぎません。Hill’sはその他さまざまな取り組みを通じて動物保護団体を支援しています。
譲渡の促進
HFSL プログラムを通じて 1,400 万件の譲渡をサポートしています。2025 年までに譲渡数を 1,500万件にすることを目指しています。また譲渡促進のために保護動物を移送する、Greater Good CharitiesによるGood Flights programを支援しています。また年1回、譲渡促進のための“Clearing the Shelters”(シェルターを空にする)キャンペーンを実施しています。
被災支援
災害等で危機に陥ったペットやシェルターを、Hill's災害救援ネットワークを通じて支援しています。過去 10 年間で160 件の災害に対応し、900 以上のシェルター、動物病院、動物保護団体を支援し、困っているペットのために 270 万ポンドのフードを寄付してきました。
未来の獣医師のためのトレーニングの提供
ヒューストンSPCAやDumb Friends Leagueといったシェルターと連携し、将来の獣医師の育成を支援し、シェルターメディスンの専門家の監督の下、動物保護の貴重な実地経験を提供する、学生向けの獣医師エクスターン・プログラムを提供しています。
動物福祉の推進
Hill’s Shelter Advisory Board(ヒルズ・シェルター諮問委員会)を構成する動物福祉界のリーダーたちと協力し、動物福祉の世界にインパクトのある変化をもたらします。
企業による動物保護支援は、どうしても譲渡支援に偏りがちです。Hill’sが素晴らしいのは、フードの支援や譲渡支援に留まらず、シェルターメディスンの発展にも目を配っている点です。日本の企業におかれましても、譲渡支援ばかりではなくシェルターメディスン、特に避妊去勢手術に携わる獣医師を養成するための支援もぜひお願いしたいと、個人的にお願いいたします。
※ https://www.hillspet.com/content/dam/cp-sites/hills/hills-pet/en_us/general/documents/shelter/hills-pet-nutrition-2023-state-of-shelter-adoption-report.pdf