返還率アップのヒント(5)現場に留まる

犬や猫をアニマルシェルターに入れない方法のひとつは、迷子のペットを速やかに飼い主に返還することです。ペットの返還に力を入れている自治体の例として、米国フロリダ州ポートセントルーシー市とアーカンソー州カボット市の取り組みを、米国人道協会のレポート(https://humanepro.org/magazine/articles/ask-experts-return-owner-strategies)から見ています。

 

現場に留まる

両市においては、現場で保護したペットの飼い主がマイクロチップやデータベースによっても特定できない場合、動物管理員はしばらく現場に留まり飼い主を探します。ポートセントルーシー市のBryan Lloydは「動物を保護したら、さらに数分かけて近所を車で回り、人を探したり、話しかけたりします」と言います。またカボット市のCabot Animal Support Services(CASS)のMike Wheelerは「迷子のペットのほとんどは家から1~2ブロック以内に留まっているため、これが功を奏しています。そして、地域住民が動物管理員に気づく時間を与えてくれます」といいます。

「地域住民が動物管理員に気づく」ことの重要性については、Lloydもこう指摘しています。「飼い主を見つける最良の方法は、誰かに見てもらうことです。たった5分しか現場にいないなら、誰もあなたを見てくれないでしょう」。Lloydは動物管理員に対し、書類の作成は事務所に帰ってからではなく現場で行うことを推奨しています。この数分の時間が、地域住民が動物管理員に気づくチャンスを高めるからです。

 

現場で活動する

動物管理員が長時間現場に留まるだけではなく、現場で活動することによっても、その存在を目立たせることができます。CASSのAnn Strainは、目立つために犬と一緒にブロックを行き来したり、近くを自動車で巡回したりするといいます。そして出会った人にその犬を知っているかどうかを尋ねます。周辺の住宅に聞き込みを行い、不在の場合はドアハンガーを残します。

 

目立つことのメリット

動物管理員が目立つことにより、地域住民の目に留まりその協力が得られます。Lloydは、動物管理員がペットを思いやる態度を示している限り、ほとんどの人は熱心に助けてくれるといいます。それを示すためには、積極的に収容する意思がないことを示す必要があります。Lloydはこう言います。

 

“For the most part, a lot of people have owned pets in their life or currently own pets. They know what the bond is like. We say, ‘We really want to get this animal back to their owner. We’re not here to cite them. Our job is to get the animal home.’”

「ほとんどの場合、多くの人がこれまでにペットを飼ったことがあるか、現在ペットを飼っています。彼らは絆がどのようなものかを知っています。私たちはこう言います。「私たちはこの動物を飼い主の元に返したいのです。私たちは彼らを連れ帰るためにここにいるわけではありません。私たちの仕事は動物を家に帰すことです」」