シェルター収容犬は外出させるべき!

かつてアニマルシェルターにおいては、収容動物の行動についてのケアは軽視されがちでした。それはスタッフが行動学に関する知識が乏しかったことに加え、特に犬は「一時収容」の意味合いが強く、飼い主に返還できなかった犬のうち攻撃的や人馴れしない個体については早く見切られ、安楽殺の対象になっていました。しかし現在では行動の問題もシェルターにおけるケアの対象であると認識されていて、また安楽殺を減らす観点から、犬を安全上の問題で「譲渡不適」と判断する際にも時間をかけて見極めるようになってきています。そのため、犬のシェルター滞在期間は長くなる傾向にあります。

犬をシェルターに収容すること自体がストレス要因になるため、収容中にはエンリッチメント(収容環境を「豊か」にすること)の一環として人間や他の個体とのふれあいを提供すべきです。さらに一部のシェルターでは、収容犬の外出や外泊が実施されています。それらの効果について、アリゾナ州立大学などの研究チームの報告※から見ていきましょう。

 

研究の方法と結果

研究チームは51か所のシェルターに収容されていた犬のうち、外出や外泊を実施した1,955頭と実施しなかった25,946頭について、その「譲渡可能性」(likelihood of adoption)を調査しました。その結果

 

・「外出」(宿泊を伴わず、数時間シェルターの外で人間と触れ合う)を実施した犬の「譲渡可能性」は、何も実施していない犬の5倍以上であった。

・「外泊」(ボランティア宅における1~2泊の一時滞在)を実施した犬の「譲渡可能性」は、何も実施していない犬の14倍以上であった。

・外出や外泊を実施した犬のシェルター滞在期間はそうでない犬よりも長い傾向があったが、その差は介入以前から存在しており、介入による影響であるとは言い難い。

・「外出」や「外泊」といった介入プログラムは、シェルターのボランティアやスタッフのみが実施するよりも、地域住民が参画する形で実施する方が効果的である。

 

そしてシェルターは、収容されている犬の福祉を向上させるために、短期間の外出や一時預かりプログラムの実施を検討する必要があると結論付けています。

 

のらぬこの補足

この結果は、犬に「外出」や「外泊」といった介入を実施することにより、人間にとって「好ましい」行動が増え、その結果譲渡されやすくなることを示しています。また地域住民の参画により効果が増大するというのも興味深い結果だと思います。そもそも、犬をシェルターに収容せず預かりボランティアに託すべきなのではないかとすら感じさせられました。

 

※The Influence of Brief Outing and Temporary Fostering Programs on Shelter Dog Welfare

Gunterら、2023

Animals 2023,13(22),3528; https://doi.org/10.3390/ani13223528