フロリダ大学などの研究チームは、フロリダ州のアニマルシェルターにおいて、猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)のキャリアの猫がどう扱われているのかを調査しました※。その結果について見ていきましょう。
調査対象のアニマルシェルター
フロリダ州で猫を受入れているとされるシェルター153施設のうち、139施設(91%)から回答が得られました。その内訳は公営55施設(40%)、民営70 施設(50%)、自治体と委託契約している民間シェルター(みなし公営)14施設(10%)です。2019年にこれらのシェルターで受入れた猫は213,060匹で、同年にフロリダ州の全シェルターで受入れた猫(215,386匹)の99%に相当します。
シェルターの受入れ理由
調査対象のシェルター全体で受け入れた猫の66%(139,555匹)が自由生活のいわゆる野良猫で、20%(42,664匹)が飼い主から引き取ったペット、14%(30,841匹)がその他の理由で受入れた猫でした。
ライブリリースの内訳
受入れた猫のうち76%(162,630匹)がライブリリース(生きたままシェルターを出る)されていて、その内訳は譲渡が48%(101,317匹)、他団体への移送が13%(26,781匹)、RTF(譲渡不適の野良猫に避妊去勢手術を施し保護場所に戻す)が13%(27,601匹)、飼い主への返還が2%(4,110匹)、その他の結果が1%(2,821匹)となっています。
実施している検査
調査対象のうち、115施設(83%)のシェルターが、FeLVとFIVのどちらか、または両方の検査を実施していました。ほとんどのシェルターがFeLVとFIVの両方の検査を行っていましたが、3施設だけはFeLVのみの検査でした。
検査対象
上記の115か所のシェルターのうち、収容しているすべての猫に FeLV 検査を行ったのは 56 施設 (49%)、 FIV 検査を行ったのは 52 施設 (45%)でした。
最も検査率が高かったのは譲渡対象の猫で、108施設 (94%) が、譲渡対象の猫の少なくとも一部を検査していました。最も検査率が低かったのはTNR/RTFの猫で、これらの事業を行っている61のシェルターのうち、少なくとも一部の猫を検査したのは10施設(16%)のみでした。
FIVやFeLVの検査は、猫の収容環境(個別か集合飼育か)や健康状態に基づき実施するというより、一律に実施されていました。
※ Dezubiriaら(2023) “Animal shelter management of feline leukemia virus and feline immunodeficiency virus infections in cats”
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.1003388/full