フロリダ大学などの研究チームは、フロリダ州のアニマルシェルターにおいて、猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)のキャリアの猫がどう扱われているのかを調査しました※。その結果について見ています。
FeLV/FIV陽性の猫の「結果」
シェルターにおけるFeLVやFIV陽性の猫のその後の処遇については、以下のとおりでした。
FeLV/FIV陽性の猫の譲渡
シェルターの特徴に関わらず、大多数のシェルターでFeLV/FIV陽性の猫を譲渡対象にしていました。FeLVの検査を少なくとも一部の猫に対して行った115施設のうち、63施設(55%)がFeLV陽性の猫を先住猫がいない、もしくは先住猫がFeLV陽性の家庭に譲渡すると回答し、先住猫の存在にかかわらず譲渡すると回答したシェルターは11施設(10%)のみでした。少なくとも一部の猫にFIV検査を行った112施設のうち、38施設(34%)が先住猫がいない、もしくは先住猫がFIV陽性の家庭に譲渡すると回答し、55施設 (49%) が先住猫の存在にかかわらず譲渡すると回答しました。
FeLV/FIV陽性の猫の移送
FeLV/FIV検査を実施していた115施設のうち、62施設(54%)が他のシェルターやレスキューグループ(シェルターを持たない、いわゆる「保護団体」)に動物を移送していて、55施設(48%)が譲渡推進を目的に他団体に移送し、40施設(35%)がサンクチュアリ(終生飼養を前提とした「ノーキル」シェルター)に移送しました。
FeLV/FIV陽性の野良猫のリターン
TNR/RTFにおいて、FeLV陽性の猫をリターンする可能性があると回答したシェルターは7施設のみでしたが、そのいずれもFeLVの検査を定期的に実施していませんでした。またFIV陽性の猫をリターンする可能性があると回答したシェルターは23施設ありましたが、そのうちFIVの検査を定期的に実施しているのは2施設のみでした。
FeLV/FIV陽性の猫の安楽殺
FeLV 陽性の猫を定例的に安楽殺していたシェルターは49施設 (43%) で、FIV陽性の猫を定例的に安楽殺していたシェルターは29施設 (26%) でした。安楽殺は、公営のシェルター、農村部のシェルター、および2019年に3,000匹以上の猫を受け入れたシェルターで最も一般的に行われていました。FeLV/FIV検査で陽性となった猫に対して定例的に安楽殺を実施しているシェルターは、収容猫全体のライブリリース率も低い傾向がありました。FeLV陽性の猫を安楽殺しているシェルターの割合は、FIV陽性の猫を安楽殺しているシェルターよりも総じて高い傾向がありました。
※ Dezubiriaら(2023) “Animal shelter management of feline leukemia virus and feline immunodeficiency virus infections in cats”
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.1003388/full