米国のシェルター統計(1) IODとは

アニマルシェルターの目的は「飼い主不明、もしくは飼い主が手放した動物を一時収容し、できるだけ早く生きたまま外に出す」ことにあります。しかし収容中の動物の福祉を担保するためには、適正な収容数を保つ必要があります。ひいては、シェルターへの動物の出入りを管理する必要があるのです。ここでは米国のシェルター統計データベースIntake & Outcome Database (IOD)の定義(※1)を参照しながら、シェルターへの動物の出入りについて考えていきたいと思います。

 

“Shelter”と“Rescue”

最初にお断りしておきますが、ここでいう「シェルター」は、必ずしも箱物としての「アニマルシェルター」のみを指しているわけではありません。箱物としてのシェルターを持たずに里親の連合体として運営されている「レスキュー(グループ)」であっても、動物を受入れて何らかの結果に導くのであれば、それは立派な「シェルター」です。このデータベースの名称が“Shelter Database”(シェルターのデータベース)ではなく“Intake & Outcome Database”(受入れと結果のデータベース)なのは、そういった意味が含まれているのではないかと私は考えています。

 

アシロマ協定とは

IODの説明に入る前に、まず「アシロマ協定」の説明から始めます。2004年8月に、米国のシェルターや動物福祉団体の代表者が、カリフォルニア州パシフィックグローブのアシロマ会議場で一同に介しました。このいわゆる「アシロマ会議」は、シェルターにおける健康な犬や猫の殺処分を廃止することを目指し、主張の異なる各種団体の結束を強化することを目的としていました。そこで各団体によるすり合わせが行われ、動物の譲渡適性についての「標準定義」(※2)や、シェルター統計の平準化などが盛り込まれた「アシロマ協定(Asilomar Accords)」が策定されました。これが米国におけるシェルター統計収集の出発点となりました。 その後Maddie's Fund(シェルターメディスンを支援する動物福祉財団)の支援により、いわゆる「アシロマデータ」の収集が進められました。

 

Shelter Animals Countの設立

2011年に、収集した「アシロマデータ」の有効活用を目指し、全米の動物福祉団体が団結しIntake & Outcome Database (IOD:旧Basic Data Matrix)が作成され、各団体での共有が始まりました。そして2012年にそのデータベースを共有し管理するために独立した非営利団体Shelter Animals Countが設立され、The National Databaseとしてデータが公開されています(https://www.shelteranimalscount.org/)。

 

IODのデータ

IODは特定の意図によらず、単純なデータ収集のためだけのツールです。また最小限のデータのみを収集するよう設計されています。IODがどのような情報を収集するか、またそれぞれの情報の定義については、関連する動物福祉団体や動物福祉財団、大学などによる議論に基づき決定されています。

 

※1 https://www.shelteranimalscount.org/wp-content/uploads/2022/07/SAC_IntakeandOutcomeDatabase_IOD_070522.pdf

 

※2 「標準定義(The definitions)」とはシェルターに収容された動物を譲渡適性により分類したもので、「Healthy(譲渡可能)」「Treatable(条件付きで譲渡可能)」「Unhealthy and Untreatable(譲渡不可)」に分けられます。