米国のShelter Animals Countが運用しているアニマルシェルター統計データベースである、Intake & Outcome Database (IOD)※で扱うデータについて、詳しく見ています。
動物の年齢
シェルターで生活することによるリスクは年齢、特に成体か幼齢かによって大きく異なります。しかし年齢を細かく分類してしまうと、統計が煩雑になります。そのためIODにおいては、動物の年齢を「ADULT(成体)」と「UP TO 5 MONTHS(5ヶ月齢未満)」に分類します。ただし運営上の都合で年齢による管理を行っていない場合は「AGE UNKNOWN(年齢不明)」として計上します。年齢については受入統計の場合は「受入時の年齢」、結果統計の場合は「結果時の年齢」を計上すればよく、難しく考える必要はありません。
年齢の決定
上記のとおり、IODにおいては5ヶ月齢未満を子犬または子猫と定義します。その境界については、訓練を受けたスタッフであれば歯の変化により区別することができます。猫は生後4~5ヶ月で犬歯、小臼歯、大臼歯の永久歯が生えてきて、生後6ヶ月までに永久歯が生え揃います。犬は生後5~7か月で犬歯、小臼歯、大臼歯の永久歯が生えてきて、生後7ヶ月までに永久歯が生え揃います。
動物の数(ANIMAL COUNTS)
IODはシェルターにおける動物の受入(Intake)および結果(Outcome)についてのデータベースではありますが、シェルターの滞在動物数も重要な数字です。月初の滞在動物数(Beginning Count)と月末の滞在動物数(Ending Count)を物理的に数えて計上します。この数にはシェルターや団体が管理している動物のすべてを含みます。つまり現在シェルターに滞在している動物だけではなく、施設外(動物病院への入院など)や里親に預けている動物の数も忘れずに数える必要があります。なお年齢はシェルター滞在中に変化するため、この数は年齢別に集計する必要はありません。
所有(possession)とは
結果(Outcome)の統計においては、所有(possession)の概念が重要になります。possessionとは法的な所有権(ownership)の有無にかかわらず、実質的に所有している状態を指します。“Adoption” (譲渡)や“Transferred to another agency” (他機関への転出)は、動物をpossessionも含めて譲り渡すことを指します。里親や他機関に預けるような場合であっても、シェルター等が管理している動物はあくまでもシェルター等の所有となります。
※https://www.shelteranimalscount.org/wp-content/uploads/2022/07/SAC_IntakeandOutcomeDatabase_IOD_070522.pdf