米国の動物保護統計(2) CSDのデータ

米国のShelter Animals Countが運用している、社会奉仕活動としての動物保護活動に関するデータベースであるCommunity Services Databaseベータ版(CSD)※について、その概要を見ていきましょう。

 

データ入力対象

CSDにデータを入力する対象として想定されているのは「アニマルシェルター、レスキューグループ(保護団体)、およびその他の非営利団体で、地域で直接または提携したサービスを提供している団体」です。なおレスキューグループとは、シェルターを持たない里親ベースの動物保護団体を指します。提携したサービスとは、例えば民間動物病院と連携し、医療費の全額または一部を団体が負担するといったサービスが考えられます。

 

受入れ(Intake)の有無

CSDの対象となるのは、受入れ(Intake)を伴わない動物保護活動のみです。動物がシェルターやレスキューグループに受入れられた場合、それはCSDではなくIOD(Intake & Outcome Database)の対象になります。

 

対象となる動物種

CSDにおいても、IODと同様に「犬」「猫」「ウサギ」「馬」「小型哺乳類」「畜産動物」「鳥類」「爬虫類+両生類」を対象としています。

 

動物の年齢

「犬」「猫」「ウサギ」「馬」については、IODと同様に「ADULT(成体)」、「UP TO 5 MONTHS(5ヶ月齢未満)」または「AGE UNKNOWN(年齢不明)」に分類し集計します。その他の動物種については年齢ごとの集計は不要です。

 

RTFとTNR 

TNR(Trap-Neuter-Return)についてはシェルターのサービスを利用したとしても、シェルターの受入れを伴わない限りCSDの対象となります。ただしシェルターが受入れた野良猫に避妊去勢手術を施し保護場所に戻すRTF(Return-to-Field)についてはCSDではなくIODの対象になります。

 

「飼い主意図の安楽殺」

飼い主からの依頼により、安楽殺が必要と判断されたペットの安楽殺をシェルター等が実施することがあります。こういった「飼い主意図の安楽殺」(OIE:Owner Intended Euthanasia)については、シェルターへの受入れを伴わないサービスの提供のみであれば、動物保護活動としてCSDの対象となります。ただしシェルターへの受入れを伴うOIEであっても、データの集計や公開の際には、その数値は自動的にCSDに統合されます。

 

※ https://www.shelteranimalscount.org/wp-content/uploads/2022/07/SACCommunityServiceDatabase_CSD_R070522.pdf