米国の動物保護統計(5)獣医療サービス その2

米国のShelter Animals Countが運用している、社会奉仕活動としての動物保護活動に関するデータベースであるCommunity Services Databaseベータ版(CSD)※であげられている最初の項目の2番目はVETERINARY SERVICES(獣医療サービス)です。 

 

獣医療サービス<続き>

米国では動物保護活動の一環として、アニマルシェルターのクリニックやその他非営利のクリニックで獣医療サービスが提供されていることがあります。ここで計上されるのはあくまでも受入れを伴わない、サービスのみの提供です。アニマルシェルターに受入れた動物に対する獣医療はここには計上されません。

かつて動物保護活動の一環として実施される外科処置といえば、そのほとんどが避妊去勢手術で、麻酔をかけたついでに簡単な外科処置も行うといった感じでした。しかし現代では歯科処置や簡単な整形外科手術なども行うクリニックが増えています。私としては一般の動物病院とのすみわけが気になるところですが、あくまでも非営利の動物保護活動の延長上という整理がなされているのではないかと思われます。また動物保護団体等が獣医療に関するリソースを持ち合わせていない場合、一般の動物病院の治療費を補助するというやり方もあります。

 

Wellness/Preventive Medical Care(健康/予防医療) 

動物保護活動の一環として実施される予防医療をさします。具体的にはワクチン接種、定期的な駆虫、ノミ/ダニ駆除、フィラリア予防などです。これは健康なペットに対する定例的なサービスのみではなく、軽症に対する治療も含みます。

 

Sick Animal Care/ Basic Veterinary Care(病気の動物に対する基本的獣医療) 

軽症の動物に対する単発の処置や治療をさします。具体的には歯科処置、抜歯、軽度のフィラリア症、軽度の皮膚アレルギー、耳の感染症などです。

 

Sick Animal Care/ Advanced Veterinary Care(病気の動物に対する高度な獣医療) 

死亡や高度障害を回避するために、継続的な処置や入院が必要な場合をさします。具体的には骨折、慢性の下痢、URI(上気道感染症)、パルボウイルス感染症、糖尿病、癌などです。

 

Owner Intended Euthanasia (OIE) (飼い主意図の安楽殺)

医学的理由または行動的理由により安楽殺が必要であると判断されたペットに対し、安楽殺サービスを実施した件数がここに計上されます。OIEは、主に安楽殺に関するスキルやリソースを有するアニマルシェルターで実施されますが、シェルターへの受入れを伴わないサービスのみの提供がここに計上されます。OIEがシェルターへの受入れを伴う場合はここには計上せず、Intake & Outcome Database (IOD)の「OIE」に計上します。

 

※ https://www.shelteranimalscount.org/wp-content/uploads/2022/07/SACCommunityServiceDatabase_CSD_R070522.pdf