米国の動物保護統計(6)行動サービス

米国のShelter Animals Countが運用している、社会奉仕活動としての動物保護活動に関するデータベースであるCommunity Services Databaseベータ版(CSD)※であげられている最初の項目の3番目はBEHAVIORAL SERVICE(行動サービス)です。 

 

行動サービス

飼い主がペットを手放す理由としてよくあげられるのが「行動上の理由」です。特に犬のしつけの失敗により手に負えなくなることは、飼育放棄の大きな要因になります。それでも我慢して無理に飼い続けようとすると、ペットと家族(飼い主を含む)の双方のQOLを著しく低下させてしまいます。そのため行動サービス、特に犬のしつけに関するサービスは、飼い主がペットを飼い続けることをサポートするために重要な活動です。アニマルシェルターにおいては動物を極力入れないための方策として、シェルター自ら行動サービスを提供することがあります。動物の行動相談や訓練などは営利事業としても行われていますが、CSDでは動物保護活動の一環として非営利で実施されているもののみを計上します。

 

Behavior Consultation(行動相談)

ペットの行動について、対面、電話、またはオンラインで相談を受けた件数を計上します。ただし地域奉仕活動として無料または低廉(free or low-cost)で実施されているものに限ります。

 

Group Training(集合訓練)

いわゆる「しつけ方教室」や「パピークラス」と呼ばれる、集合型の訓練を受けているペットがここに計上されます。ただし動物保護団体が実施しているすべての訓練がこれに該当するわけではなく、地域奉仕活動として無料または低廉で実施されているものに限ります。

 

Private Training(個別訓練)

トレーナーにより個別に訓練を受けているペットがここに計上されます。ただし動物保護団体が実施しているすべての訓練がこれに該当するわけではなく、地域奉仕活動として無料または低廉で実施されているものに限ります。

 

Behavior Modification Program(行動変容プログラム)

「行動変容プログラム」とは、行動上の問題を抱えた動物の行動を修正するプログラムです。これは単なる「しつけ」の範疇を超えて、学習理論を用いた行動修正を行うものです。具体的には「古典的条件付け」や「オペラント条件付け」などの手法を用いて、「よくない」行動を減らし、「好ましい」行動を増やしていきます。ただし動物保護団体が実施しているすべてのプログラムがこれに該当するわけではなく、地域奉仕活動として無料または低廉で実施されているものに限ります。

 

※ https://www.shelteranimalscount.org/wp-content/uploads/2022/07/SACCommunityServiceDatabase_CSD_R070522.pdf