家庭動物としての譲渡に向かない野良猫を「納屋猫」として譲渡する“Barn Cat Program”について、Austin Pets Alive!(APA!)のMonica Frendenによる“Starting a Barn Cat Program in your Community”(以下「ハンドブック」)※から見ています。
Determining a Cat’s Eligibility(猫の適性判断)
Barn Cat Programの対象になる猫は、次の条件を満たす必要があります。(p7)
• Unsuited for Traditional Adoption(通常の譲渡に向かない)
• Unable to be returned to the location he/she was captured(捕獲場所にリターンできない)
• Healthy(健康である)
• Reasonably Capable of Colony Life(コロニー生活が可能)
「通常の譲渡」もしくは「捕獲場所へのリターン」が可能な猫については、Barn Cat Programの対象にはなりません。Barn Cat Programは「譲渡」の形を取りますが、その飼育形態はほぼ放し飼いですから、健康状態は重要です。最後の「コロニー生活が可能」については、猫が満たすべき条件というよりはマッチングに際しての留意事項の意味合いが大きいと私は考えています。
Unsuited for Traditional Adoption(通常の譲渡に向かない)
家庭動物としての適性がある猫については、通常の譲渡を行うべきです。家庭動物として不向きで「譲渡不適」とされるような猫についてはBarn Cat Programの候補になります。その具体例として「ハンドブック」は以下をあげています。(p7)
・社会化期を過ぎているにもかかわらず、社会化されていない野良猫
・人馴れしているが、室内では惨め(miserable)な猫
・失禁やトイレの問題が解決できない猫
・長年の咬傷歴や、医療や行動修正では解決できない極端な問題行動を起こす猫
Unable to be returned to the Location it was captured(捕獲場所にリターンできない)
「譲渡不適」の野良猫は通常、避妊去勢手術ののちに捕獲場所にリターンされます。しかし何らかの理由で捕獲場所にリターンできない猫もいます。その具体例として「ガイドブック」は以下をあげています。(p7)
・リターンを許可しないシェルターに収容されてしまった猫
・本来の生息地がもはや安全ではなくなった猫
・捕獲場所が不明の猫
「ハンドブック」には触れられていませんが、人間による庇護が必要にもかかわらず家庭動物に向かない、いわゆる“inbetweener”(飼い猫と野良猫の「中間者」)の猫もBarn Cat Programの対象に含まれるのではないかと私は考えています。
※https://www.maddiesfund.org/assets/documents/Institute/APA!%20Barn%20Cat%20Handbook.pdf