Barn Cat Program (8) 猫の選択 その2

家庭動物としての譲渡に向かない野良猫を「納屋猫」として譲渡する“Barn Cat Program”について、Austin Pets Alive!(APA!)のMonica Frendenによる“Starting a Barn Cat Program in your Community”(以下「ハンドブック」)※から見ています。

 

Determining a Cat’s Eligibility(猫の適性判断) <続き>

 

Healthy(健康である)

Barn Cat Programは譲渡とはいえ放し飼いが前提ですから、猫には十分な健康診断を行い健康であることを確認する必要があります。また通常譲渡の際に実施される獣医療ケアを実施することが推奨されます。つまり、

 

・(未実施の場合)避妊去勢手術

・三種混合ワクチンと狂犬病ワクチンの接種

・マイクロチップ

・駆虫

・ノミ予防薬

 

ただし米国においては野良猫のFIV/FeLV検査を実施しないのが一般的なため、「ハンドブック」は「納屋猫」として譲渡する前の、野良猫のFIV/FeLV検査を推奨していません。(p7)

 

Capable of Colony Life(コロニー生活が可能)

Barn Cat Programの候補としての最後の条件は、その猫が、「飼い主」によって食料やねぐらが提供される、管理されたコロニー環境で生きていけることです。それを判断するための、年齢やその他の厳密な欠格事項はありません。その代わり、それぞれの猫の特性に合った譲渡先を丁寧に探していくことが推奨されます。例えば(けんかによる負傷で)爪を失った猫や子猫、また障害のある猫などについては一律に除外するのではなく、それぞれの猫の状態を見ながらふさわしい譲渡先を探していくことになります。(p8)

 

爪を失った猫

爪を失ったような猫については気質などの問題で譲渡不適とされ、従来であれば安楽殺されていましたが、「納屋猫」としては機能するかもしれません。

 

子猫

子猫は原則として社会化のうえ家庭動物として譲渡すべきですが、社会化が難しい子猫や、里親によるケア体制が不十分、または成猫と一緒に保護されているような場合は、安全な環境下で「納屋猫」として暮らすことがよい選択かもしれません。

 

障害がある猫

脚が欠損、もしくはその他の障害を抱えている猫については、コヨーテなどによる捕食のリスクが低く、献身的な世話人がいる場所を慎重に選べば配置可能かもしれません。

 

いずれにしても「ハンドブック」は、既成概念にとらわれず考えることを推奨しています。

 

※https://www.maddiesfund.org/assets/documents/Institute/APA!%20Barn%20Cat%20Handbook.pdf