Barn Cat Program (14) 「納屋猫」の収容 その4

家庭動物としての譲渡に向かない野良猫を「納屋猫」として譲渡する“Barn Cat Program”について、Austin Pets Alive!(APA!)のMonica Frendenによる“Starting a Barn Cat Program in your Community”(以下「ハンドブック」)※から見ています。

 

APA! (Austin Pets Alive!)方式

「ハンドブック」では、APA!で実施している野良猫の管理方法が紹介されています。Barn Cat Programで一般的な「移設クレート方式」とはかなり勝手が異なります。APA!では「納屋猫」の一時収容に、屋外の囲い(いわゆる「キャッテリー」)を用います。やむを得ぬ場合にはシェルター内のケージに隔離することもあります。いずれも、シェルター敷地内の静かな場所に置かれています。(p16)

 

シェルター内のケージ

猫をシェルター内のケージに収容する場合、ケージ内に“feral cat den”(野良猫用の小型キャリーケース)を入れておきます。これにより猫に隠れ家を提供するとともに、猫に直接触れずに取り扱うことが可能になります。野良猫はケージ中で暴れる可能性が高いため、トイレは深めのものが望ましいです。ケージには野良猫である旨を明記し、スタッフに注意を促します。ケージの手前に覆いを設置すると、猫が落ち着きます。

野良猫はストレスで採餌しなくなる傾向があるため、通常シェルターで与えている一流メーカーの高栄養価のフードよりも、量販店で購入したドライフード(kibble)の方が食いつきがよいのでこれを与えています。ウェットフードも1日2回与えますが、これも安価な「ジャンクフード」です。(p16)

 

屋外猫舎

APA!には4か所の屋外「納屋猫舎」があり、猫はこのいずれかに割り振られます。それぞれの猫舎には猫の隠れ家、高い位置の休息場所(places to perch)、食事、水、トイレが十分に用意されています。猫舎は大木の下の日陰に位置していて、直射日光を避けることができます。また猫舎周辺は立入禁止区域に指定されていて、静寂が保たれるようになっています。猫舎内には爪とぎ用の木などのアイテムが十分に用意されているうえ、自然豊かな周辺環境は猫に自然観察の機会を与えます。猫舎には1~数か所の餌場があり、ドライフード(kibble)は常設、ウェットフードは1日1回給餌されます。低侵襲の健康診断を週2回行い、スタッフがすべての猫を屋内で確認し、体重が適正であることや、病気の兆候がないことなどを確認します。(p17)

 

※https://www.maddiesfund.org/assets/documents/Institute/APA!%20Barn%20Cat%20Handbook.pdf