Barn Cat Program (15) 「納屋猫」の譲渡先を探す

家庭動物としての譲渡に向かない野良猫を「納屋猫」として譲渡する“Barn Cat Program”について、Austin Pets Alive!(APA!)のMonica Frendenによる“Starting a Barn Cat Program in your Community”(以下「ハンドブック」)※から見ています。

 

Finding Barn Cat Adopters(納屋猫の譲渡先を探す)

“Barn Cat”(納屋猫)という言葉はしばしば象徴的に用いられます。たしかにBarn Cat Programによって譲渡された猫の多くは、郡部の農場に住んでいます。しかし「納屋猫」の需要はそれだけに留まらないと「ハンドブック」はいいます。具体的には次のような施設です。

 

• Warehouses(倉庫) 

• Junkyards(スクラップ置き場)

• Auto repair shops(自動車整備所)

• Woodworking shops(木工所) 

• Wineries(ワイナリー) 

• Stables(厩舎) 

• Grain handling facilities(穀類取扱施設) 

• Greenhouses / Nurseries / Garden Centers(温室/種苗場/園芸店)

• Churches(教会) 

• Storage facilities(貯蔵施設) 

 

農場の納屋に限らず、さまざまな事業所がネズミ駆除の問題を抱えています。こういった事業所がBarn Cat Programを導入することにより、野良猫の命を守りネズミによる被害を軽減できるばかりでなく、殺鼠剤やネズミ捕り器を用いたネズミ駆除の必要がなくなります。これらは事業所のPRとして有効ですし、駆除費用の節約にもなります。また職場に猫がいることで、従業員の癒しにもなります。(p17)

 

のらぬこからの一言

「納屋猫」の主な譲渡先は「農場」または「牧場」とされていますが、牛舎、豚舎、鶏舎などの畜舎に「納屋猫」を入れることには、感染症蔓延のリスクがあるので注意が必要です。もし牧場に「納屋猫」を配置するのであれば、猫のねぐらを納屋や倉庫など畜舎以外の場所に設置し、かつ猫が畜舎内に入らないような管理が必要です。日本の農林水産省による「飼養衛生管理基準」においても、「牛、水牛、鹿、めん羊、山羊」「豚、いのしし」「鶏、あひる、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥」については、「猫等の愛玩動物」の「衛生管理区域内」への「持ち込み」や「飼育」は禁じられています(「衛生管理区域」外での飼育は禁じられていません)。ただし「馬」についてはそのような規定はありません。感染症のリスクは馬も同様のはずですが、馬の場合は人間の食用が前提ではないこと、さらに馬は他の動物とともにふれあい活動等に用いられることが多いことが関係しているのかもしれません。

 

※https://www.maddiesfund.org/assets/documents/Institute/APA!%20Barn%20Cat%20Handbook.pdf