Barn Cat Program (19) 譲渡と引き渡し

家庭動物としての譲渡に向かない野良猫を「納屋猫」として譲渡する“Barn Cat Program”について、Austin Pets Alive!(APA!)のMonica Frendenによる“Starting a Barn Cat Program in your Community”(以下「ハンドブック」)※から見ています。

 

Adoption and Relocation Process(譲渡と引き渡し)

「納屋猫」の譲渡が決まれば、猫を新しい飼い主に引き渡すことになりますが、猫をキャリーケースで運び現場でクレートに入れる場合は、シェルター等がクレートを別途貸与する必要があります。その他予算にもよりますが、当座のドライフードや猫缶、猫砂など(米国の場合、飲用水も推奨)を提供しておくと新生活がスムーズに始められます。(p24)

 

引き渡し時の情報提供

猫の引き渡しはシェルター等が配達、または新しい飼い主に引取りに来てもらうかにより行います。どちらにしても、引き渡しの際にはmedical records(医療記録)、adoption paperwork(譲渡契約書)、information thanking them for adopting(譲渡にあたり感謝の意)、advising them on how to care for the cats during confinement(監禁中の猫の世話の仕方)といった情報を提供する必要があります。(p24)

 

監禁中の猫の世話の仕方

クレート内に監禁中の猫の世話の注意点は次のとおりです。

 

クレートの置き場所

猫を収容するクレート(輸送用クレートでも可)は、最終的に猫の主な住居となる待避所内に設置する必要があります。飼い主が毎日観察できるよう、便利な場所に置きます。直射日光や風が当たらず、猫が新しい環境に慣れ始めるのに適した場所に置くようにします。(p24)

 

2~4週間は外に出さない

猫は少なくとも2週間、できれば4週間、移設クレート内に留まる必要があります。それ以前に外に出してしまうと、猫が逃げ出し行方不明になる可能性があることについて念を押す必要があります。(p24)

 

毎日の世話

少なくとも1日に1回は給餌、給水、トイレ掃除を行います。ドライフードは常設でもかまいませんが、猫缶は1日1〜2回決まった時間に与えるようにします。猫缶を与えるときは、特別な声かけ(例えば“here, kitty kitty”)を行い、給餌の合図として学習させます。このことにより、必要な際には猫を呼び寄せることができます。クレートへの監禁中、良い住処であればあるほど、また猫たちが新しい飼い主を「ご飯をくれる人」と認識すればするほど、猫たちは新しい飼い主の元にいたいと思うようになります。(p24)

 

先住犬の慣らし

監禁中は、先住犬を新しい猫に慣れさせるのに最適な時期でもあります。その際には犬が猫にストレスを与えることなく、お互いの匂いを嗅ぎ、お互いに慣れることができるようにする必要があります。(p24)

 

猫の解放とその後

4週間経過後の朝、クレートの扉を開け猫を解放します。その後はクレートの近く(中ではない)で給餌を続けます。それでも猫はしばらくの間クレートの中で休みますが、その間は極力クレートをそのままにしておきます。クレートが用済みになったら、シェルター等に引取りを依頼します。(p24-25)

 

※https://www.maddiesfund.org/assets/documents/Institute/APA!%20Barn%20Cat%20Handbook.pdf