「中間者」の猫 (1) 「中間者」とは

前回まで、米国のアニマルシェルターで広がりつつある、家庭動物としての譲渡に向かない野良猫を「納屋猫」として譲渡する“Barn Cat Program”についてご紹介してきましたが、英国の猫保護団体であるInternational Cat Care(ICC)も、家庭動物としての譲渡に向かない“inbetweener”(中間者)と呼ばれる猫を特別なプログラムで譲渡することを提唱しています。ここではICCのリーフレット“Identifying solutions for ‘inbetweener’ cats”※から、「中間者」の猫の譲渡について考えていくことにしましょう。

 

「中間者」とは

ICCは“inbetweener”(中間者)をこう定義しています。

 

These are cats that have been treated as pets (ie, live with people as companion animals) but are unable to live without chronic fear, anxiety and/or frustration in a conventional pet setting (eg, living with some confinement and in close proximity to people).

これらは、ペットとして扱われてきた(すなわち、コンパニオンアニマルとして人間と一緒に暮らす)が、従来のペット環境(例えば、一定の拘束下で人間のすぐ近くで暮らす)では慢性的な恐怖、不安、および/またはイライラなしに生きることができない猫です。(p3)

 

つまりペットとして飼われていたが、人間の「伴侶」としての生活に強いストレスを感じている猫が「中間者」といえます。その入手方法は購入、譲り受け、(野良猫の)保護を問いません。

 

生活様式による猫の分類

ICCはその生活様式により、猫を4つのカテゴリーに分類しています。つまり

 

・飼い猫(Pet Cat):人間との関係が良好で、家庭生活に適応した猫

・街猫(Street Cat):人間と関わりながら生活している、野外生活に適応した猫

・野猫(Feral Cat):人間と関わることなく生活している、野外生活に適応した猫

・中間者の猫(Inbetweener Cat):人間と関わりながら生活していたが、家庭生活に適応していない、または野外生活に適応していない猫

 

これらの猫のうち「飼い猫」は返還または譲渡、「街猫」はTNRまたは譲渡、「野猫」はTNRが基本的な対応になりますが、「中間者」は元飼い猫ですから野外へのリターンはできませんし(遺棄に該当する)、家庭動物としての通常の譲渡にも向かないため、特別な対応が必要なわけです。

 

「中間者」の処遇の基本

ICCは「中間者」の猫は外飼い、または半外飼いを前提とした譲渡を推奨しています。

 

This document recommends outcomes for these cats that include them living outdoors(or with unlimited access to outdoors in a domestic home), so the information will be relevant for those countries or regions where it is legal and acceptable for cats to live partially or fully outdoors. 

この文書では、これらの猫に対して、屋外で生活する(または家庭内であっても無制限に外出できる)ことを含めた結果を推奨しています。 そのためこの情報は、猫の外飼いが法的に認められている国または地域向けになります。(p1)

 

※ https://icatcare.org/app/uploads/2020/02/final-inbetweeners-decision-doc.pdf