英国の猫保護団体であるInternational Cat Care(ICC)は、人間との生活にストレスを感じているため家庭動物としての譲渡に向かない“inbetweener”(中間者)と呼ばれる猫を特別なプログラムで譲渡することを提唱しています。ここでは、「中間者」とはどのような猫か、ICCのリーフレット“Identifying solutions for ‘inbetweener’ cats”※1から見ていくことにしましょう。
「中間者」を特定する
どこのhoming centre(アニマルシェルター)※2にも、このような猫がいるとICCはいいます。(p2)
「問題行動」を起こした猫
飼い主が受容できない「問題行動」(“problem behaviour”)を示したため、飼い主が飼いきれずにシェルターに持ち込んだ猫
家庭動物としての期待に応えられなかった猫
「問題行動」とまではいえないが、家庭動物として飼い主が期待するような行動を示さなかったため、飼い主によってシェルターに持ち込まれた猫
譲渡からの出戻り
譲渡されたものの、家庭生活になじめなかった、もしくは新しい飼い主の期待に応えられなかったため、シェルターに戻された猫
長期収容の猫
次の理由により、シェルターに長期滞在している猫
・人間が近づくと無反応、隠れる、攻撃的行動などを示し、譲渡に至らない
・シェルターがその猫をどう扱ってよいのか、また今後どうしていけばよいかわからないまま放置されている
こういった猫の中に「中間者」が含まれるとICCはいいます。仮にその猫が「中間者」であるとすれば、そもそも家庭生活になじまないわけですから、新しい譲渡先を見つけることは根本的な解決にはなりません。もちろんこのような猫のすべてが「中間者」とは限りませんから、「中間者」の猫を特定し、適切に対応することが求められるわけです。
「中間者」の猫が存在する理由
なぜ「中間者」の猫が存在するのか、ICCは以下の可能性をあげています。(p2)
・子猫の社会化期に人間と適切に交流する機会がなかったため、人間の近くにいると何らかのストレスを感じる
・人間に対して恐れや不安を感じたり、イライラしたりする気質を元々持っている
※1 https://icatcare.org/app/uploads/2020/02/final-inbetweeners-decision-doc.pdf
※2 ICCは“homing centre”(譲渡センター)という表現を用いていますが、これはいわゆる“animal shelter”に相当しますので、本ブログでは特に断りがない限り、“homing centre”を「(アニマル)シェルター」と表現します。