「中間者」の猫 (3) 「中間者」の特定

英国の猫保護団体であるInternational Cat Care(ICC)は、人間との生活にストレスを感じているため家庭動物としての譲渡に向かない“inbetweener”(中間者)と呼ばれる猫を特別なプログラムで譲渡することを提唱しています。「中間者」の猫を特定する方法について、ICCのリーフレット“Identifying solutions for ‘inbetweener’ cats”※から見ていくことにしましょう。

 

How to identify an inbetweener(「中間者」を特定する方法)

前述のとおり「人馴れしていないように見える」猫のすべてが「中間者」とは限りません。「中間者」ではないと判断された猫は通常の譲渡が可能なわけですから、まずはどの猫が「中間者」であるかを特定する必要があります。「中間者」を特定するための最も有用な情報は、飼い主からの情報です。特に猫の出自や入手方法、普段の行動といった情報は「中間者」の特定に役立ちます。また飼い主から十分に情報が得られなかった場合や、もっと詳細に見定めたい場合には、シェルター内や里親の家での行動観察が行われます。

 

Information gathering at intake into a homing centre(シェルター受入れ時の情報収集)

シェルターが猫を受入れる際に、飼い主からこのような情報を入手します。

 

・Where the cat came from(猫の出自)

・Behaviour at home(家庭での行動)

・Physical health(健康状態)

 

これらの情報から、その猫が真に「中間者」であるのか、それとも単に飼い主や飼養環境と合わなかっただけなのかを判断します。もちろんその中に「中間者」であることを示唆する情報があったとしても、その猫が「中間者」であることを決定づけることはできません。しかし該当する要素が多いということは、そのぶん「中間者」である可能性が高いとはいえます。

 

Information gathered during care in the homing centre(シェルターでのケア中に収集された情報)

シェルター収容中に猫の様子を観察します。観察するポイントは次のとおりです。

 

・Behaviour in the pen(囲いの中での行動)

・Posture(体勢)

・Body language(ボディランゲージ)

 

猫の行動が、飼い主から得られた情報と食い違うことはままあります。行動上の問題でシェルターに持ち込まれた猫であっても、シェルター環境下では「普通」の行動を示すこともあります。その場合は新しい譲渡先を探すことになります。また家庭動物として飼われていた猫は、シェルター環境下ではストレス行動を示すことが多いことにも注意しなければなりません。場合によっては、里親に預けて一般家庭における行動を観察する必要があります。

 

※ https://icatcare.org/app/uploads/2020/02/final-inbetweeners-decision-doc.pdf