「中間者」の猫 (4) 受入れ時の情報収集

英国の猫保護団体であるInternational Cat Care(ICC)は、人間との生活にストレスを感じているため家庭動物としての譲渡に向かない“inbetweener”(中間者)と呼ばれる猫を特別なプログラムで譲渡することを提唱しています。「中間者」の猫を特定する方法について、ICCのリーフレット“Identifying solutions for ‘inbetweener’ cats”※から見ています。

 

Information gathering at intake into a homing centre(シェルター受入れ時の情報収集)(p3)

アニマルシェルターが「中間者」を疑う猫を受入れる際に、飼い主からその猫についての情報を収集することが重要です。具体的には次のような事項について聞き取ります。

 

Where the cat came from(猫の出自)

子猫の頃の人間とのふれあいや飼養環境、また親猫の性格(人馴れしていたかどうか)などについて聞き取ることができれば「中間者」の特定に有効です。ただし「何も聞かずに購入した」「誰かから不要になったペットを譲り受けた」「野良猫を拾った」などの理由で、子猫の頃の状況が不明なことも多いです。

 

Behaviour at home(家庭での行動)

その猫が飼われていたときに、人間と一緒にいることにストレスを感じるような様子がなかったかについて聞き取ります。例えば

 

・理由なく、人間を避けて生活する

・人間から逃げる(例えば、人間が部屋に入ると出て行ったり隠れたりする)

・1日の大半を屋外で過ごし、食事や就寝のためだけに家に帰ってくる

・人間に触れられると攻撃的な行動を示す、もしくはシャーシャー鳴いたり、うなったりする

・屋内のトイレ以外の場所で排便・排尿する

 

また飼い主による「欲しいものが手に入らないと引っ掻いたり噛んだりする」「抱き上げられるのが嫌い」「友好的だが自分本位(Friendly, on her own terms)」「見知らぬ人が嫌い」「いつも大声で鳴いている」といったコメントもヒントになります。

 

Physical health(健康状態)

慢性的なストレスに起因する病歴があれば、家庭生活に適応していなかった可能性が示唆されます。具体的には

 

・眼の感染症(eye infections)

・下痢または血尿(diarrhoea or blood in urine)

・頻尿および/またはトイレの外での排尿(frequent urination and/or urination outside of the litter tray)

 

といった病歴があれば、日常的にストレスにさらされていた可能性があります。

 

※ https://icatcare.org/app/uploads/2020/02/final-inbetweeners-decision-doc.pdf