「中間者」の猫 (5) シェルターにおける行動観察

英国の猫保護団体であるInternational Cat Care(ICC)は、人間との生活にストレスを感じているため家庭動物としての譲渡に向かない“inbetweener”(中間者)と呼ばれる猫を特別なプログラムで譲渡することを提唱しています。「中間者」の猫を特定する方法について、ICCのリーフレット“Identifying solutions for ‘inbetweener’ cats”※から見ています。

 

Information gathered during care in the homing centre(シェルターでのケア中に収集された情報)(p3-4)

猫がアニマルシェルターに収容されている際に観察された行動は、「中間者」の特定に役立ちます。ただしその行動がすべての人間に向けられたものなのか、または見知らぬ環境や人間に対する反応であるのかは慎重に評価する必要があります。特にペットとして家庭環境に適応した猫は、シェルター環境下でストレスを感じることがあります。シェルターにおける猫の行動については、その猫の背景情報と照らし合わせて評価する必要があります。場合によっては、里親に預けて家庭環境における行動を観察する必要があるかもしれません。

 

以下のような行動を示す猫は「中間者」であるがゆえに、シェルター環境への居心地の悪さを感じている可能性があります。

 

Behaviour in the pen(囲いの中での行動)

・人のいない夜間のみ活動する

・夜間に餌入れや水入れがひっくり返され、寝具が乱れる

・ケージから出ようとして柵やドアを足で踏んでいる

・じっとしているが寝ていない(寝たふりをする)

・いつも隠れている

・囲いの後ろ側にいて前に出てこない

・人が近づくと攻撃行動を見せる

 

Posture(姿勢)

・肩を丸め、手足を内側に引いてうずくまっている

・頭が下がっている

・尻尾を体に近づけている

 

Body language(ボディランゲージ)

・瞳孔が拡張し、目を大きく開いている

・耳が回転または平らになっている

・鼻をなめたり、大げさに飲み込んだりすることがある

 

※ https://icatcare.org/app/uploads/2020/02/final-inbetweeners-decision-doc.pdf