「中間者」の猫 (6) 「中間者」をどうするか

英国の猫保護団体であるInternational Cat Care(ICC)は、人間との生活にストレスを感じているため家庭動物としての譲渡に向かない“inbetweener”(中間者)と呼ばれる猫を特別なプログラムで譲渡することを提唱しています。「中間者」の猫の処遇について、ICCのリーフレット“Identifying solutions for ‘inbetweener’ cats”※から見ていきましょう。

 

Cat Friendly Solutions for inbetweeners(中間者のための、猫に優しい解決法)(p5)

その猫が「中間者」であることが特定されたら、適切な処遇が必要になります。ICCは2種類の譲渡を提唱しています。つまり

 

・農家や厩舎で放し飼いにする、“Alternative lifestyles”(代替的生活様式)

・「伴侶」ではなく「同居人」として、理解ある飼い主に譲渡する

 

前者は米国でいうところの“Barn Cat Program”と同じと考えてよいでしょう。

 

Finding the right caregiver(適切な世話人を見つける)(p6)

どちらにしても、猫が「中間者」と特定されてから譲渡先を募集するのではなく、あらかじめ候補者を登録しておくことが望ましいといえます。なぜなら「中間者」の猫を飼うことには「無償の愛」をささげるための理解と心構えが必要だからです。ICCもこう言っています。

 

It can be hard to find the special caregivers needed for inbetweeners, who are happy to give the cat everything it needs without expecting any love or gratitude in return. It may be that, once the reality is experienced, they decide there is not enough reward for them in the relationship and the cat is returned to the homing organisation. Finding suitable people in advance and establishing a network of inbetweener caregivers, who can share their experiences with each other, can be helpful. Careful recruitment of potential inbetweener caregivers and full transparency about what to expect is the key to success. 

愛や感謝の見返りを期待することなく、猫に必要なものすべてを喜んで与えてくれる、「中間者」にとって必要な特別な世話人を見つけるのは難しいかもしれません。現実を経験すると、この関係には十分な報酬がないと判断し、猫は譲渡団体に戻されるのかもしれません。適切な人材を事前に見つけて、お互いの経験を共有できる世話人同士のネットワークを確立すると役立ちます。中間者の世話人になる可能性のある人を慎重に採用し、何が期待されるのかを完全に透明にすることが成功の鍵です。(p6)

 

シェルターへの収容を伴わない、「中間者」の処遇 (p5)

「中間者」の猫はシェルター収容中に特定されることもありますが、多くの場合猫が飼い主によってシェルターに持ち込まれる際に目星がつきます。シェルターに入れる前に「中間者」を特定することができれば、選択肢が1つ加わります。それは飼い主による「保持」です。

つまり飼い主が、その猫が「中間者」であることを認識し、その特性や特別なケアの方法について理解することができたなら、飼い続けることができるかもしれません。

また飼い主がその猫を飼い続けることが困難な場合であっても、当面の間飼い続けてもらい、その間に譲渡先を探し直接譲渡することができれば、シェルターへの収容を伴わずに済みます。

 

※ https://icatcare.org/app/uploads/2020/02/final-inbetweeners-decision-doc.pdf