「中間者」の猫 (8) 「代替的生活様式」の猫の選定

英国の猫保護団体であるInternational Cat Care(ICC)は、人間との生活にストレスを感じているため家庭動物としての譲渡に向かない“inbetweener”(中間者)と呼ばれる猫を特別なプログラムで譲渡することを提唱しています。「中間者」の猫の処遇について、ICCのリーフレット“Identifying solutions for ‘inbetweener’ cats”※から見ています。

 

Eligibility for an alternative lifestyle outdoors(屋外における代替的生活様式の条件) (p5)

屋外の“Alternative lifestyles”で飼養する「中間者」の猫には、次のような条件が必要です。

 

・in good health(健康状態が良好)

・neutered(不妊手術済み)

・vaccinated(ワクチン接種済み)

・microchipped(マイクロチップ装着済み)

 

また、待避所の管理や新しい環境に猫を定着させる方法(一定期間の監禁)、そして継続的なケアの方法について、世話人に対して文書で指示し、世話人がそれに従う必要があります。

 

「代替的生活様式」に向かない猫

一般的に次のような猫は“Alternative lifestyles”に向きませんが、個体ごとにケースバイケースで判断します。

 

Elderly cats(高齢の猫)

高齢の猫は加齢による病気や運動器障害のリスクが高いため、野外生活に向きません。

 

Cats of specific breeds(特定の品種の猫)

これらの品種の猫は、野外生活に向かない身体的特徴を持っています。

・with very long hair(長毛種:ペルシャなど)

・with no fur(無毛種:スフィンクスなど)

・with sparse fur(シングルコートの短毛種:デボンレックスなど)

・brachycephalic (flat-faced) cats(短頭種:ペルシャなど)

 

身体状態に問題がある猫

disease(病気)、condition(身体異常)、またはdisability(障害)により、定期的な通院や投薬のために都度捕獲が必要、 もしくは野外における健康維持が困難な猫は当然ながら“Alternative lifestyles”に向きません。

 

これらの猫については、完全な放し飼いというよりは、周囲を囲われた一定の広さの場所に退避所を設置して飼うほうがよいかもしれません。それでも猫のQOL(生活の質)を担保できない場合には、苦痛除去のための安楽殺も検討されます。

 

※ https://icatcare.org/app/uploads/2020/02/final-inbetweeners-decision-doc.pdf