「中間者」の猫 (9) 「代替的生活様式」の実際

英国の猫保護団体であるInternational Cat Care(ICC)は、人間との生活にストレスを感じているため家庭動物としての譲渡に向かない“inbetweener”(中間者)と呼ばれる猫を特別なプログラムで譲渡することを提唱しています。「中間者」の猫の処遇について、ICCのリーフレット“Identifying solutions for ‘inbetweener’ cats”※から見ています。

 

What is an ‘alternative lifestyle’(「代替的生活様式」とは何か)(付録1)

 

Environment(環境)

“Alternative lifestyles”を簡単に言うと「「中間者」の猫が屋外で飼われているが、健康状態や様子について離れたところから見守ってくれる世話人が存在する状態」です。具体的にはlarge garden in a domestic home(家庭の広い庭)、smallholding or farm(小規模農園)、stable yard(厩舎の庭)、 grounds to a hotel(ホテルの敷地)などを指します。

外飼いの猫には雨風をしのぐことができる、小屋や離れなどの待避所が必要です。さらにその中にねぐらを設置すると、猫がさらに快適に過ごすことができるでしょう。

 

Settling in period(定着期間)

“Alternative lifestyles”は「譲渡」の体をとりますが、実体は猫の移住ですから、新しい環境に慣れるまで、猫を小屋などに1~3週間閉じ込めておく必要があります。監禁中は給餌や給水、トイレの提供のほか、ねぐらや隠れ家を提供する必要があります。給餌皿や給水皿とトイレは離れた位置に置き、また交換の際に猫が逃げ出さないような位置に置く必要があります。

 

General care(一般的な世話) 

猫が新しい環境に定着したら小屋のドアを開け、猫を開放します。指定された待避所の中に給餌皿、給水皿、トイレを設置します。猫を放し飼いにすると好きな場所で用を足すようになるため、トイレは必要なくなります。腐敗や害虫を防ぐため、フードは猫缶よりもドライフードを与える方がよいかもしれません。また新鮮な水を毎日与えます。これらは他の野生動物が近寄らないような場所に設置することが望ましいです。

「中間者」の猫は人目を避けて生活するため、姿を全く見ない日もあるかもしれません。フードの減り方やねぐらの状態を日々記録しておくと、姿が見えないだけなのか、いなくなってしまったのかが不明な場合に役立ちます。

 

Interaction(交流)

「中間者」の猫は基本的に人間を避けて生活しそれで満足しますので、人間の側からの交流は不要です。逆に世話人が猫と交流しようと近づくと、猫はそれを脅威に感じます。しかし交流の主導権を猫の側に委ねると、猫は好きなタイミングで人間に近づいてくるかもしれません。その際には、コンタクトを続けるか立ち去るかの選択権を猫に与える必要があります。

 

※ https://icatcare.org/app/uploads/2020/02/final-inbetweeners-decision-doc.pdf