「中間者」の猫 (10) 「中間者」を家庭で飼う

英国の猫保護団体であるInternational Cat Care(ICC)は、人間との生活にストレスを感じているため家庭動物としての譲渡に向かない“inbetweener”(中間者)と呼ばれる猫を特別なプログラムで譲渡することを提唱しています。「中間者」の猫の処遇について、ICCのリーフレット“Identifying solutions for ‘inbetweener’ cats”※から見ています。

 

Living in a domestic home with a special caregiver(特別な世話人がいる家庭に住む) (p6)

「中間者」の猫は「伴侶」としての生活には向きませんが、理解ある飼い主の元で「同居人」として家庭で飼うことはできます。この生活様式には名前が付けられていませんが、ICCはこう表現しています。

 

A lifestyle in and around a domestic home with a very different kind of interaction with the owner that falls outside what is normally expected from the owner-pet cat relationship 

飼い主とペットの猫の関係から通常期待されるものを逸脱した、非常に異なる種類の飼い主との交流を伴う、家庭内およびその周囲における生活様式(p7)

 

「中間者」の猫は「普通」の猫とは異なり、人間との定期的な交流や人間からの注目を望みません。飼い主が「中間者」との交流を求めて頻繁に近づくと、かえって接触時間が短くなるという報告もあります。「中間者」と交流しようとすると、最初は隠遁行動や攻撃行動が強化される可能性があります。逆に交流の主導権を猫の側に委ねると、猫の好きなタイミングで人間と関わることができるため、交流の機会が増大する可能性があります。「中間者」との交流には次のような注意が必要です。

 

・Not approaching the cat(猫に近づかない) 

・Not focusing on the cat (猫と視線を合わせない)

・Giving attention only if and when the cat approaches and directly solicits it(猫が近づいてきて直接誘ってきたときにのみ、注意を向ける) 

・Maintaining strict feeding regimes at specific times of day or providing a daily dry food ration to enable the cat to eat when hungry(給餌時刻を厳格に定めるか、いつでも食べられるようにドライフードを毎日与える) 

 

これらの扱いは「普通」の猫とは異なりますから、譲渡の際には「中間者」の扱いについて十分に説明し、また譲渡後の継続的なフォローアップも必要です。

 

Health care for the inbetweener living in a domestic home(家庭にいる中間者の健康管理) (p6)

家庭で飼われている「中間者」の猫の健康管理については、人馴れしない猫を日常的に取り扱っている獣医師に委ねるとうまくいきます。

 

※ https://icatcare.org/app/uploads/2020/02/final-inbetweeners-decision-doc.pdf