「法的に正しい」ペットの飼い方(2) 健康と安全の保持と迷惑防止

動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。

 

健康と安全の保持と迷惑防止

動物の所有者又は占有者の責務の最初は「健康と安全の保持と迷惑防止」です。動物愛護法で定められている飼い主の責務は「健康と安全の保持と迷惑防止」「動物に起因する感染症の知識と予防」「逸走防止」「終生飼養」「繁殖制限」「所有明示」の6つですが、「健康と安全の保持と迷惑防止」は全てを包括する根幹的事項です。残りの5つは重要事項として特出しされているわけです。ここで条文を再確認しておきましょう。

 

第七条 動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。この場合において、その飼養し、又は保管する動物について第七項の基準が定められたときは、動物の飼養及び保管については、当該基準によるものとする。

 

飼養及び保管に関する基準

ただし「健康と安全の保持と迷惑防止」はあまりにも様々な事項を含んでいるため、全ての内容を法律の条文の中に納めることは困難です。そのため、「第7条の基準」が別に定められています。もちろん「第7条の基準」も動物愛護法の付属物ですから、法律と同じ効力を持ちます。ちなみに同条第7項ではこう規定されています。

 

7 環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、動物の飼養及び保管に関しよるべき基準を定めることができる。

 

この規定に基づき、これらの基準が定められています。 

 

家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(平成14年環境省告示第37号)

展示動物の飼養及び保管に関する基準(平成16年環境省告示第33号)

産業動物の飼養及び保管に関する基準(昭和62年総理府告示第22号)

実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(平成18年環境省告示第88号) 

 

ここでいう「家庭動物」とは、「愛がん動物又は伴侶動物(コンパニオンアニマル)として家庭等で飼養及び保管されている動物」をさします。そこに「情操の涵(かん)養及び生態観察のため飼養及び保管されている動物」(学校飼育動物など)を加えたのが「家庭動物等」です。「展示動物」とは、動物園、ふれあい施設、ペットショップ、ブリーダー、動物プロダクションなどにおいて、展示やふれあいのために飼われている動物を指します。「産業動物」とは牛や鶏など、産業利用のために飼われている動物を指します。「実験動物」とは「科学的目的のために研究施設などで飼われている動物」を指します。いずれの基準においても、対象となる「動物」には哺乳類、鳥類、爬虫類が含まれます。ここに両生類を加えることも検討されていますが、現時点においてはそういうことになっています。