動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号、以下「法」とする)で定められている「法的に正しい」動物の飼い方について見ています。
動物に起因する感染症の知識と予防
動物の所有者又は占有者の責務の2番目は「動物に起因する感染症の知識と予防」で、これはいわゆる「人と動物の共通感染症」のことです。法第7条第2項の条文を確認しておきましょう。
2 動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物に起因する感染性の疾病について正しい知識を持ち、その予防のために必要な注意を払うように努めなければならない。
そもそも、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第4条には、国民の責務として次のように定められています。
第四条 国民は、感染症に関する正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならない。
ですので動物愛護法の規定は、動物に関する部分について特出ししたものといえます。
具体的な措置については、「第7条の基準」で定められています。例えば家庭動物等の場合「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号)ではこう定められています。
6 人と動物の共通感染症に係る知識の習得等
(1) 所有者等は、その所有し、又は占有する家庭動物等と人に共通する感染性の疾病について、動物販売業者が提供する情報その他の情報をもとに、獣医師等十分な知識を有する者の指導を得ることなどにより、正しい知識を持ち、その飼養及び保管に当たっては、感染の可能性に留意し、適度な接触にとどめるなどの予防のために必要な注意を払うことにより、自らの感染のみならず、他の者への感染の防止にも努めること。
(2) 家庭動物等に接触し、又は家庭動物等の排せつ物等を処理したときは、手指等の洗浄を十分行い、必要に応じ消毒を行うこと。
愛玩動物由来感染症対策(@厚生労働省)の要点
感染症に関することは厚生労働省の管轄になりますので、「人と動物の共通感染症」(厚生労働省は「動物由来感染症」という失礼な呼称をいまだに用いています)の予防については厚生労働省が定めています。詳しくは「愛玩動物の衛生管理の徹底に関するガイドライン 2006 - 愛玩動物由来感染症の予防のために –」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000155023.pdf)を読んでいただくとして、ここでは要点だけをご紹介しておきます。
1 動物対策
・動物入手時の健康状態の確認
・飼育者による日常の管理
・獣医師による健康管理
2 感染経路対策
①直接伝播
・動物のしつけ
・衛生的な飼育管理
②間接伝播(ノミ・ダニなど)
・媒介動物対策
3 人対策
・衛生習慣の改善(手洗いの励行、清掃の際の手袋やマスクの着用など)
・正しい知識の習得
・個人の健康管理(医療機関への受診)